Android Emulator は Android デバイスをコンピュータ上でシミュレートします。複数のデバイスを用意しなくても、さまざまなデバイスと Android API レベルでアプリケーションをテストできます。
エミュレータでは、実際の Android デバイスのほぼすべての機能を利用できます。 電話の着信やテキスト メッセージのシミュレーション、デバイスの場所の指定、さまざまなネットワーク速度のシミュレーション、回転などのハードウェア センサーのシミュレーション、Google Play ストアへのアクセスなどを行うことができます。
エミュレータでは、いくつかの点で物理デバイスよりも高速かつ簡単にアプリのテストを行えます。たとえば、USB で接続されたデバイスにデータを転送するよりも、エミュレータにデータを転送する方が高速に行えます。
エミュレータには、さまざまな Android スマートフォン、タブレット、Wear OS、Android TV デバイスに事前定義された設定が用意されています。
エミュレータ機能の概要については、次の動画をご覧ください。
エミュレータは、グラフィカル ユーザー インターフェースから手動で操作することも、コマンドラインやエミュレータ コンソールからプログラムで操作することもできます。各インターフェースで利用できる機能の比較については、Android Emulator のツールの比較をご覧ください。
要件と推奨事項
Android Emulator を使用するには、基本的な Android Studio のシステム要件に加えて、以下の要件も満たす必要があります。
- SDK Tools 26.1.1 以降
- 64 ビット プロセッサ
- Windows: UG(無制限ゲスト)をサポートする CPU
- HAXM 6.2.1 以降(HAXM 7.2.0 以降を推奨)
ハードウェア アクセラレーションを Windows および Linux で使用する場合、以下の要件も満たす必要があります。
- Windows または Linux の場合の Intel プロセッサ: Intel VT-x、Intel EM64T(Intel 64)、および Execute Disable(XD)ビット機能をサポートする Intel プロセッサ
- Linux の場合の AMD プロセッサ: AMD Virtualization(AMD-V)およびストリーミング SIMD 拡張命令 3 補足命令(SSSE3)をサポートする AMD プロセッサ
- Windows の場合の AMD プロセッサ: Windows Hypervisor Platform(WHPX)機能を使用するため、Android Studio 3.2 以降および Windows 10 April 2018 リリース以降
Android 8.1(API レベル 27)以降のシステム イメージを使用するには、720p フレームをキャプチャできるウェブカメラが接続されている必要があります。
32 ビット Windows システムのサポート終了
Android Emulator は、2019 年 6 月に 32 ビット Windows システムのサポートが終了しています。 32 ビット Windows 用エミュレータのサポートは、重大なバグ修正を含めて 2020 年 6 月まで継続しますが、新機能の追加は行われません。32 ビット Windows システムでエミュレータを使用している場合は、64 ビット Windows システムへの移行を計画する必要があります。
32 ビット Windows システムでエミュレータを使用している場合、SDK Manager を使用して、32 ビット Windows 用のエミュレータの最新バージョンをインストールできます。
エミュレータをインストールする
Android Emulator をインストールするには、SDK Manager の [SDK Tools] タブで [Android Emulator] コンポーネントを選択します。手順については、SDK Manager でのツールの更新をご覧ください。
Android Virtual Device
Android Emulator の各インスタンスは、Android Virtual Device(AVD)を使用して、シミュレートするデバイスの Android バージョンとハードウェア特性を指定します。アプリを効果的にテストするには、アプリの実行対象となる各デバイスをモデル化する AVD を作成する必要があります。AVD の作成や管理には、デバイス マネージャを使用します。
各 AVD は、ユーザーデータや SD カードなどの固有のプライベート ストレージを持つ、独立したデバイスとして機能します。デフォルトでは、エミュレータはユーザーデータ、SD カードデータ、キャッシュをその AVD 固有のディレクトリに保存します。エミュレータを起動すると、ユーザーデータと SD カードデータが AVD ディレクトリから読み込まれます。
Android Emulator でアプリを実行する
Android Studio プロジェクトからアプリを実行することも、デバイスでアプリを実行する場合と同様に Android Emulator にインストールされているアプリを実行することもできます。
エミュレータを起動し、プロジェクトでアプリを実行する手順は次のとおりです。
- Android Studio で、アプリのインストールと実行を行う際にエミュレータが使用する Android Virtual Device(AVD)を作成します。
ツールバーにある対象デバイスのプルダウン メニューから、アプリを実行する AVD を選択します。
実行アイコン
をクリックします。
ダイアログの上部にエラーや警告メッセージが表示されたら、リンクをクリックして問題の修正や詳細情報の確認を行います。
Hardware Accelerated Execution Manager(Intel HAXM)のエラーなどが発生した場合は、先に進む前に修正する必要があります。
macOS の場合、エミュレータの起動時に
Warning: No DNS servers found
エラーが表示される場合は、/etc/resolv.conf
ファイルがあるかどうかを確認してください。このファイルがない場合は、ターミナル ウィンドウで次のコマンドを入力します。ln -s /private/var/run/resolv.conf /etc/resolv.conf
Wear OS ペア設定アシスタント
Wear OS ペア設定アシスタントを使用すると、Wear OS エミュレータと物理スマートフォンまたは仮想スマートフォンとのペア設定を、Android Studio で手順に沿って直接行うことができます。アシスタントを使用すると、適切な Wear OS コンパニオン アプリをスマートフォンにインストールし、2 つのデバイス間の接続を設定する作業が容易になります。アシスタントを開始するには、デバイスのプルダウンから [Wear OS Emulator Pairing Assistant] に移動します。
最初にアプリを実行せずに Android Emulator を起動する
エミュレータを起動する手順は次のとおりです。
AVD をダブルクリック、または実行アイコンをクリックします。
Android Emulator が読み込まれます。
エミュレータの実行中に、Android Studio プロジェクトを実行して、エミュレータを対象デバイスとして選択できます。1 つ以上の APK をエミュレータにドラッグすることで、複数の APK を同時にインストールし、実行することもできます。
Android Studio で Android Emulator を直接実行する
デフォルトでは、Android Emulator は Android Studio 内で直接実行されます。そうすることで、画面のスペースが有効活用でき、エミュレータとエディタ ウィンドウ間をホットキーを使って簡単に移動できるようになります。また、IDE とエミュレータ ワークフローが 1 つのアプリケーション ウィンドウ内にまとまります。
エミュレータの実行中に、回転などの一般的なエミュレータ操作と、ナビゲーション再生などの拡張コントロール オプションを利用できます。エミュレータを別のウィンドウで実行するには、[File] > [Settings] > [Tools] > [Emulator](macOS の場合は、[Android Studio] > [Preferences] > [Tools] > [Emulator])に移動し、[Launch in a tool window] の選択を解除します。
制限事項
現時点では、エミュレータがツール ウィンドウで実行されている場合、エミュレータの拡張コントロールは使用できません。開発ワークフローが拡張コントロールに大きく依存している場合は、引き続き Android Emulator をスタンドアロン アプリケーションとして使用してください。また、Android TV や折りたたみ式デバイスなどの特定の仮想デバイスは、特別な UI の要件があったり、拡張コントロールに重要な機能があったりするため、Android Studio で実行できません。
ファイルをインストールする、追加する
エミュレートしているデバイスに APK ファイルをインストールするには、APK ファイルをエミュレータ画面にドラッグします。ファイルをドラッグすると、APK インストーラ ダイアログが表示されます。インストールが完了すると、アプリリストにアプリが表示されます。
エミュレートしているデバイスにファイルを追加するには、ファイルをエミュレータ画面にドラッグします。
ファイルは /sdcard/Download/
ディレクトリに置かれます。追加したファイルは、Device File Explorer を使用して Android Studio から表示できます。デバイスのバージョンによっては、ダウンロードまたはファイルアプリを使用してデバイスからファイルを検索できます。
スナップショット
スナップショットは、AVD(Android Virtual Device)の保存されたイメージであり、OS 設定、アプリケーションの状態、ユーザーデータなど、デバイスが保存された時点の全体的な状態を保持します。特定の時点を選択してスナップショットを読み込むことで、保存されたシステム状態に戻ることが可能であるため、仮想デバイス上のオペレーティング システムとアプリケーションの再起動を待つ時間を削減でき、テストを再開したい特定の状態にアプリを戻す手間が省けます。スナップショットを読み込んで仮想デバイスを起動するのは、物理デバイスを電源オフの状態から起動するのではなく、スリープ状態から起動する場合に似ています。
AVD ごとに、1 つのクイックブート スナップショットを作成でき、一般的なスナップショットは無制限に作成できます。
スナップショットを利用する最も簡単な方法は、クイックブート スナップショットを使用することです。デフォルトでは、各 AVD は終了時にクイックブート スナップショットを自動的に保存し、起動時にクイックブート スナップショットから読み込みが行われるように設定されます。
AVD を初めて起動するときは、コールドブートを行う必要があります(デバイスの電源を入れるのと同じです)。クイックブートが有効になっている場合、初回以降の起動時にはすべて指定のスナップショットから読み込みが行われ、システムはそのスナップショットに保存された状態に復元されます。
スナップショットは、そのスナップショットを保存したときのシステム イメージ、AVD 設定、エミュレータ機能に対して有効です。これらの領域のいずれかを変更すると、影響を受ける AVD のすべてのスナップショットが無効になります。Android Emulator、システム イメージ、または AVD 設定を更新すると、AVD の保存された状態がリセットされるため、次回 AVD を起動するときにはコールドブートを行う必要があります。
スナップショットの保存、読み込み、管理の操作はほとんど、エミュレータの [Extended controls] ウィンドウにある [Snapshots] ペインの [Snapshots] タブと [Settings] タブで行えます。
コマンドラインからエミュレータを起動するときにも、クイックブート オプションを操作できます。
クイックブート スナップショットを保存する
AVD を閉じるときには、エミュレータでスナップショットが自動的に保存されるかどうかを指定できます。この動作を制御するには、次の手順で処理します。
- エミュレータの [Extended controls] ウィンドウを開きます。
- コントロールの [Snapshots] カテゴリで、[Settings] タブに移動します。
[Auto-save current state to Quickboot] プルダウン メニューから、次のいずれかのオプションを選択します。
Yes: エミュレータを閉じるときは常に AVD スナップショットを保存しますこれがデフォルトです。
No: エミュレータを閉じるときに AVD スナップショットを保存しません。
選択した内容は、現在開いている AVD にのみ適用されます。ADB がオフラインのとき(AVD の起動中など)にスナップショットを保存することはできません。
一般的なスナップショットを保存する
クイックブート スナップショットは AVD ごとに 1 つしか保存できないのに対して、一般的なスナップショットは AVD ごとに複数保存できます。
一般的なスナップショットを保存するには、エミュレータの [Extended controls] ウィンドウを開き、[Snapshots] カテゴリを選択して、ウィンドウの右下隅にある [Take snapshot] ボタンをクリックします。
選択したスナップショットの名前と説明を編集するには、ウィンドウの下部にある編集アイコン をクリックします。
スナップショットを削除する
スナップショットを手動で削除するには、エミュレータの [Extended controls] ウィンドウを開き、[Snapshots] カテゴリを選択し、スナップショットを選択して、ウィンドウの下部にある削除アイコン をクリックします。
また、AVD 設定やエミュレータのバージョンが変更されたときなど、無効になったスナップショットをエミュレータで自動的に削除するかどうかを指定することもできます。デフォルトでは、エミュレータは無効なスナップショットを削除するかどうかを確認します。この設定は、[Snapshots] ペインにある [Settings] タブの [Delete invalid snapshots] メニューで変更できます。
スナップショットを読み込む
スナップショットを読み込むにはいつでも、エミュレータの [Extended controls] ウィンドウを開き、[Snapshots] カテゴリを選択し、スナップショットを選択して、ウィンドウの下部にある読み込みアイコン をクリックします。
Android Studio 3.2 以降、各デバイス設定には [Virtual Device Configuration] ダイアログの詳細設定に [Boot option] コントロールがあります。これにより、AVD の起動時に読み込む AVD スナップショットを指定できます。
クイックブートを無効にする
AVD が常にコールドブートを実行するようにクイックブートを無効にする手順は次のとおりです。
- [Tools] > [Device Manager] を選択し、AVD 編集アイコン
をクリックします。
- [Show Advanced Settings] をクリックし、[Emulated Performance] までスクロールします。
- [Cold boot] を選択します。
一度だけのコールドブート
クイックブートを完全に無効にする代わりに、[Device Manager] の AVD プルダウン メニューから [Cold Boot Now] をクリックすることで、コールドブートを一度だけ実行できます。
スナップショットの要件とトラブルシューティング
- スナップショットは、Android 4.0.4(API レベル 15)以前では機能しません。
- スナップショットは、Android 8.0(API レベル 26)の ARM システム イメージでは機能しません。
- エミュレータがスナップショットからの起動に失敗した場合は、デバイス マネージャで AVD の [Cold Boot Now] を選択し、バグレポートを送信します。
- ソフトウェア レンダリングが有効になっている場合、スナップショットの信頼性は低下します。スナップショットが機能しない場合は、デバイス マネージャで AVD 編集アイコン
をクリックし、[Graphics] を [Hardware] または [Automatic] に変更します。
- スナップショットの読み込みまたは保存は、メモリを集中的に使用する操作です。読み込みまたは保存操作の開始時に十分な RAM を確保できない場合、オペレーティング システムは RAM の内容をハードディスクにスワップすることがあり、操作が大幅に遅くなる可能性があります。スナップショットの読み込みや保存が非常に遅い場合は、RAM を解放するとこうした操作を高速化できることがあります。作業に必要ないアプリケーションを閉じると、RAM を解放できます。
エミュレータ画面を操作する
コンピュータのマウスポインタを使って、メニュー項目の選択、フィールドの入力、ボタンやコントロールのクリックなど、指でのタッチスクリーン操作を再現できます。コンピュータのキーボードを使用して、文字やエミュレータ用のショートカットを入力することもできます。
表 1. エミュレータ内を移動するための操作
機能 | 説明 |
---|---|
画面のスワイプ | 画面上にマウスを移動して、マウスの左ボタンを押した状態で画面上をスワイプしてボタンを離します。 |
アイテムのドラッグ | 画面上のアイテムにマウスを移動して、マウスの左ボタンを押した状態でアイテムを移動してボタンを離します。 |
タップ (タッチ) |
画面上にマウスを移動して、マウスの左ボタンを押してから離します。 これにより、テキスト フィールドをクリックして入力を開始する、アプリを選択する、ボタンを押すなどの操作が可能です。 |
ダブルタップ | 画面上にマウスを移動して、マウスの左ボタンをすばやく 2 回押してから離します。 |
長押し | 画面上のアイテムにマウスを移動して、しばらくマウスの左ボタンを押してからボタンを離します。これにより、アイテムのオプションを開くなどの操作が可能です。 |
入力 | コンピュータのキーボードや、エミュレータの画面に表示されるキーボードを使ってエミュレータに入力できます。これにより、テキスト フィールドを選択した後に入力できます。 |
Ctrl(Mac では Command)キーを押すと、ピンチ ジェスチャー マルチタッチ インターフェースが起動します。マウスが一本目の指、アンカー ポイントの反対側がもう一本目の指として動作します。カーソルをドラッグして始点を動かします。
マウスの左ボタンをクリックすると 2 つのポイントをタッチしている状態になり、ボタンを離すと両方のポイントを離します。 |
|
上下のスワイプ | 画面の垂直方向のメニューを開いているときに、スクロール ホイール(マウスホイール)を使用して、目的のメニュー項目が表示されるまでメニュー項目をスクロールします。メニュー項目をクリックして選択します。 |
エミュレータで一般的なアクションを行う
エミュレータで一般的なアクションを行うには、表 2 で説明されているように右側のパネルを使用します。
キーボード ショートカットを使用することで、エミュレータでさまざまな種類の一般的なアクションを行えます。 エミュレータのショートカットを一覧表示するには、F1(Mac の場合は Command+/)キーを押して、[Extended controls] ウィンドウのヘルプペインを開きます。
表 2. エミュレータでの一般的なアクション
機能 | 説明 |
---|---|
閉じる![]() |
エミュレータを終了します。 |
最小化![]() |
エミュレータ ウィンドウを最小化します。 |
サイズ変更 | オペレーティング システムのウィンドウと同様に、エミュレータのサイズを変更します。エミュレータはデバイスに適したアスペクト比を保持します。 |
電源![]() |
クリックして画面をオンまたはオフにします。 長押ししてデバイスのオン / オフを切り替えます。 |
音量を上げる![]() |
クリックするとスライダー コントロールが表示され、音量を上げることができます。再度クリックするとさらに音量が上がり、スライダー コントロールで音量を調整できます。 |
音量を下げる![]() |
クリックするとスライダー コントロールが表示され、音量を下げることができます。再度クリックするとさらに音量が下がり、スライダー コントロールで音量を調整できます。 |
左に回転![]() |
デバイスを反時計回りに 90 度回転させます。 |
右に回転![]() |
デバイスを時計回りに 90 度回転させます。 |
スクリーンショットを撮る![]() |
クリックするとデバイスのスクリーンショットを撮影できます。詳細については、スクリーンショットをご覧ください。 |
![]() |
クリックすると、カーソルがズームアイコンに変化します。ズームモードを終了するには、もう一度ボタンをクリックします。 ズームモードでのズームインとズームアウト:
ズームモードで画面移動するには、Ctrl(Mac では Command)キーを押しながら、キーボードの矢印キーを押します。 ズームモードでデバイス画面をタップするには、Ctrl キーを押しながらクリックします(Mac では Command キーを押しながらクリックします)。 |
戻る![]() |
前画面に戻る、またはダイアログ ボックス、オプション メニュー、通知パネル、オンスクリーンのキーボードを閉じます。 |
ホーム![]() |
ホーム画面に戻ります。 |
最近
![]() (最近使用したアプリ) |
タップすると最近使用したアプリのサムネイル画像の一覧が表示されます。アプリを開くには、そのサムネイルをタップします。リストからサムネイルを削除するには、左か右にスワイプします。このボタンは Wear OS ではサポートされていません。 |
折りたたむ![]() |
折りたたみ式デバイスの場合は、デバイスを折りたたんで、小さい画面構成を表示します。 |
開く![]() |
折りたたみ式デバイスの場合は、デバイスを開いて、大きい画面構成を表示します。 |
メニュー | Ctrl+M(Mac では Command+M)キーを押して、メニューボタンをシミュレートします。 |
詳細![]() |
クリックすると、下の表に示すその他の機能や設定を利用できます。 |
画面の録画
Android Emulator から動画と音声を記録し、WebM またはアニメーション GIF ファイルに保存できます。
画面録画コントロールは、[Extended Controls] ウィンドウの [Screen record] タブにあります。
ヒント: 画面録画コントロールは、Ctrl+Shift+R(Mac では Command+Shift+R)キーを押しても開けます。
画面の録画を開始するには、[Screen record] タブの [Start recording] ボタンをクリックします。録画を停止するには、[Stop recording] をクリックします。
録画した動画の再生と保存のコントロールは、[Screen record] タブの下部にあります。動画を保存するには、タブの下部にあるメニューから [WebM] または [GIF] を選択し、[Save] をクリックします。
また、コマンドラインで次のコマンドを使用して、エミュレータから画面の録画と保存ができます。
adb emu screenrecord start --time-limit 10 [path to save video]/sample_video.webm
スクリーンショット
仮想デバイスのスクリーンショットを撮るには、[Take screenshot] アイコン をクリックします。
キャプチャした年、月、日、時、分、秒を示す Screenshot_yyyymmdd-hhmmss.png
という名前の PNG ファイルが作成されます。(例: Screenshot_20160219-145848.png
)。
デフォルトでは、スクリーンショットはパソコンのデスクトップに保存されます。スクリーンショットの保存場所を変更するには、エミュレータの [Extended controls] ウィンドウの [Settings] カテゴリにある [Screenshot save location] コントロールを使用します。
次のいずれかのコマンドを使用して、コマンドラインからスクリーンショットを撮ることもできます。
screenrecord screenshot [destination-directory]
adb emu screenrecord screenshot [destination-directory]
カメラのサポート
以前のバージョンの Android の仮想デバイスでは、エミュレータは基本的なカメラ機能をサポートしています。Android 11 以降で追加されている Android Emulator のカメラ機能は、以下のとおりです。
- RAW 撮影
- YUV 再処理
- レベル 3 デバイス
- 論理カメラのサポート
- センサー マネージャーのデータを使用してセンサーの向きをエミュレート
- ハンドシェイク頻度の低減によるビデオの手ぶれ補正
- 通常は YUV パイプラインで行われるアップスケーリングを除去してエッジ補正を適用
- 同時カメラ
仮想シーンカメラと ARCore
仮想環境で仮想シーンカメラを使用して、ARCore で作成された拡張現実(AR)アプリを試すことができます。
エミュレータで仮想シーンカメラを使用する方法については、Android Emulator で AR アプリを実行するをご覧ください。
エミュレータでカメラアプリを使用する場合、仮想シーン内で使用する PNG または JPEG 形式の画像をインポートできます。仮想シーンで使用する画像を選択するには、[Extended controls] ウィンドウの [Camera] > [Virtual scene images] タブで [Add image] をクリックします。この機能を使用すると、カメラベースのアプリで使用する QR コードなどのカスタム画像をインポートできます。詳細については、拡張画像をシーンに追加するをご覧ください。
一般的な AR アクションをマクロでテストする
エミュレータでプリセット マクロを使用すると、一般的な AR アクションのテストにかかる時間を大幅に短縮できます。たとえば、マクロを使用して、デバイスのすべてのセンサーをデフォルトの状態にリセットできます。
マクロを使用する前に、Android Emulator で AR アプリを実行するの手順に沿って、アプリで使用する仮想シーンカメラを設定し、エミュレータでアプリを実行して、ARCore を更新します。その後に、次の手順でエミュレータ マクロを使用します。
- エミュレータを実行し、アプリを ARCore に接続して、エミュレータ パネルのその他アイコン
をクリックします。
- [Record and Playback ] > [Macro Playback] を選択します。
使用するマクロを選択し、[Play] をクリックします。
再生中に、[Stop] をクリックするとマクロを中断できます。
拡張コントロール、設定、ヘルプ
拡張コントロールでは、データの送信、デバイス プロパティの変更、アプリのコントロールなどが行えます。[Extended controls] ウィンドウを開くには、エミュレータ パネルでその他アイコン をクリックします。
こうしたタスクの多くは、キーボード ショートカットを使用できます。エミュレータのショートカットを一覧表示するには、F1(Mac の場合は Command+/)キーを押して [Help] ペインを開きます。
表 3. 拡張コントロールの詳細
機能 | 説明 |
---|---|
位置情報 |
エミュレータでは、現在地情報(現在エミュレートしているデバイスがある場所の情報)をシミュレートできます。たとえば、Google マップで現在地 デバイスの位置情報に関するコントロールは、2 つのタブ([Single points] と [Routes])にまとめられています。 Single points [Single points] タブでは、Google マップの WebView を使用して、スマートフォンやブラウザで Google マップを使用しているときと同じようにスポットを検索できます。地図で場所を検索またはクリックすると、地図の下部で [Save point] を選択して保存できます。保存した場所はすべて [Extended controls] ウィンドウの右側の一覧に表示されます。 エミュレータの場所を地図上で選択した場所に設定するには、[Extended controls] ウィンドウの右下にある [Set location] ボタンをクリックします。 Routes [Single points] タブと同様に、[Routes] タブには、Google マップ WebView が表示されるので、2 つ以上の場所の間に経路を作成できます。経路を作成して保存する手順は次のとおりです。
保存した経路に沿ってエミュレータでシミュレートするには、[Saved routes] リストから経路を選択し、[Extended controls] ウィンドウの右下にある [Play route] をクリックします。シミュレーションを停止するには、[Stop route] をクリックします。 指定した経路に沿ってエミュレータで継続的にシミュレートするには、[Repeat playback] のスイッチを有効にします。エミュレータが指定された経路をたどる速度を変更するには、[Playback speed] プルダウンから速度を選択します。 GPX データと KML データをインポートする GPS データ交換フォーマット(GPX)やキーホール マークアップ言語(KML)ファイルの地理情報データを利用する方法は以下のとおりです。
速度はデフォルトで [Delay](Speed 1X)に設定されています。速度は 2 倍(Speed 2X)、3 倍(Speed 3X)のように増加させることができます。 |
Displays |
エミュレータを使用すると、サイズをカスタマイズ可能な複数のディスプレイにアプリをデプロイして、マルチウィンドウやマルチディスプレイをサポートするアプリをテストできます。仮想デバイスの実行中、次のように、最大 2 つのディスプレイを追加できます。
|
モバイル | エミュレータでは、さまざまなネットワークの状態をシミュレートできます。さまざまなネットワーク プロトコルのネットワーク速度に近づけたり、[Full] を指定してコンピュータで実現できる最高速度でデータを転送したりできます。ネットワーク プロトコルを指定すると必ず、[Full] にした場合よりも速度が低下します。さらにローミングなど、音声やデータ ネットワークの状態も指定できます。デフォルトでは AVD に設定されています。 [Network type] の値を選択します。
[Signal strength] の値を選択します。
[Voice status] と [Data status] の一方または両方の値を選択します。
|
電池 | デバイスの電池プロパティをシミュレートすると、さまざまな条件下でアプリの動作を確認できます。[Charge level] を選択するには、スライダー コントロールを使用します。 [Charger connection] の値を選択します。
[Battery health] の値を選択します。
[Battery status] の値を選択します。
|
電話 | エミュレータで電話の着信やテキスト メッセージの受信をシミュレートできます。 エミュレータへの通話を開始する方法は次のとおりです。
エミュレータにテキスト メッセージを送信する方法は以下のとおりです。
|
十字キー | AVD のハードウェア プロファイルで十字キーが有効になっている場合は、エミュレータで十字キーを利用できます。ただし、Android スマートウォッチなどの一部のデバイスは十字キーに対応していません。 各ボタンがシミュレートする動作は以下のとおりです。 ![]() |
指紋 | このコントロールでは 10 種の異なる指紋スキャンをシミュレートできます。この機能を使用して、アプリで指紋機能の統合をテストできます。この機能は、Android 5.1(API レベル 22)以前、および Wear OS では無効です。 仮想デバイス上で指紋のスキャンをシミュレートする方法は次のとおりです。
|
Virtual sensors > Accelerometer |
このコントロールを使用すると、デバイスの位置、方向、またはその両方の変化に対するアプリの反応をテストできます。たとえば、傾きや回転などのジェスチャーをシミュレートできます。加速度センサーは、デバイスの絶対位置を追跡することはありません。変更が発生したことを検出するだけです。このコントロールは、実際のデバイスを移動または回転させたときの加速度センサーと磁力計センサーの反応をシミュレートします。 このコントロールを使用するには、AVD の加速度センサーを有効にする必要があります。 このコントロールは、x、y、z 軸で このコントロールは x、y、z 軸でデバイスを回転させるには、[Rotate] を選択して、次のいずれかを行います。
Yaw、Pitch、Roll の計算方法の詳細は、デバイスの向きの計算に関する説明をご覧ください。 デバイスを水平(x)または垂直(y)に移動するには、[Move] を選択し、次のいずれかを行います。
デバイスを 0、90、180、270 度に配置するには:
デバイスを調整すると、それに応じて [Resulting values] フィールドが変わります。これらの値には、アプリからアクセスできます。 上記のセンサーの詳細については、センサーの概要、モーション センサー、位置センサーをご覧ください。 |
Virtual sensors > Additional sensors | エミュレータは、さまざまな位置および環境センサーをシミュレートできます。 以下のセンサーを調整して、アプリでテストできます。
|
Snapshots | スナップショットをご覧ください。 |
Screen record | 画面の録画をご覧ください。 |
Settings > General |
|
Settings > Proxy | エミュレータはデフォルトで Android Studio の HTTP プロキシ設定を使用しますが、この画面でエミュレータの HTTP プロキシ設定を手動で定義できます。詳細は、プロキシを設定してエミュレータを使用するをご覧ください。 |
Settings > Advanced |
|
Help > Keyboard Shortcuts | このペインには、エミュレータのキーボード ショートカットの一覧が表示されます。エミュレータでの操作中にこのペインを開くには、F1(Mac では Command+/)キーを押します。 ショートカットを有効にするには、[General] 設定ペインの [Send keyboard shortcuts] オプションを [Emulator controls (default)] に設定する必要があります。 |
Help > Emulator Help | エミュレータのオンライン ドキュメントを参照するには、[Documentation] をクリックします。 エミュレータのバグを報告するには、[Send feedback] をクリックします。 詳細については、エミュレータのバグを報告する方法をご覧ください。 |
Help > About | エミュレータで使用している adb ポートと、Android Emulator のバージョン番号を確認できます。使用中のエミュレータのバージョンと最新バージョンを比較して、最新のソフトウェアをインストールしているか確認してください。 エミュレータのシリアル番号は emulator-adb_port の形式で示されるため、adb コマンドラインでのオプション指定などに使用できます。 |
Wi-Fi
API レベル 25 以上の AVD を使用する場合、エミュレータで Wi-Fi アクセス ポイント(「AndroidWifi」)をシミュレートでき、Android はこれに自動的に接続されます。
コマンドライン パラメータ -feature -Wifi
を使用してエミュレータを実行すると、エミュレータで Wi-Fi を無効にできます。
制限事項
Android Emulator には、次の仮想ハードウェアは含まれません。
- Bluetooth
- NFC
- SD カードの挿入、取り出し
- デバイスに装着されたヘッドフォン
- USB
Wear OS のスマートウォッチ エミュレータには、[Overview (Recent Apps)] ボタン、十字キー、指紋認証センサーはありません。