アプリを公開する

公開とは、Android アプリをユーザーが利用できる状態にする一般的なプロセスのことです。Android アプリを公開する場合の手順は次のとおりです。

  • リリースに向けてアプリを準備する

    準備の段階では、アプリのリリース バージョンをビルドします。

  • ユーザー向けにアプリをリリースする

    リリースの段階では、アプリのリリース バージョンを公開、販売、配信します。ユーザーは、このバージョンを Android 搭載デバイスにダウンロードしてインストールすることになります。

このページでは、アプリの公開を準備するプロセスを概説します。Google Play で公開する予定の場合は、安心してリリースをご覧ください。

継続的インテグレーション サーバーを使用する場合は、ここで説明する手順を自動化するように構成できます。また、内部テストの配信チャネルにビルドをプッシュするように構成することもできます。

リリースに向けてアプリを準備する

アプリをリリースするための準備は、以下のタスクを含む、複数の段階からなるプロセスです。

  • リリース用にアプリを構成する

    少なくとも、ロギングを無効にして削除し、リリース バリアントで Groovy の場合は debuggable false、Kotlin スクリプト セットの場合は isDebuggable = false が設定されていることを確認する必要があります。また、アプリのバージョン情報を設定する必要もあります。

  • アプリのリリース バージョンをビルドして署名する

    release ビルドタイプを指定した Gradle ビルドファイルを使用して、アプリのリリース バージョンをビルドし、署名します。詳しくは、アプリをビルドして実行するをご覧ください。

  • アプリのリリース バージョンをテストする

    アプリを配信する前に、アプリのリリース バージョンを徹底的にテストする必要があります。スマートフォンとタブレットのそれぞれについて、少なくとも 1 つの対象機種でテストを実施してください。Firebase Test Lab は、さまざまなデバイスと構成でテストする際に役立ちます。

  • リリース用にアプリリソースを更新する

    すべてのアプリリソース(マルチメディア ファイルや画像など)が更新されてアプリに組み込まれていること、または適切な製品版サーバーにステージングされていることを確認します。

  • アプリが使用するリモート サーバーとサービスを準備する

    アプリが外部のサーバーまたはサービスを使用する場合は、それらが安全であり、本番環境に対応していることを確認します。

準備を進めるにあたっては、上記以外にもさまざまな作業が必要になることがあります。たとえば、使用するアプリ マーケットプレイスのアカウントを作成する必要があります(まだ作成していない場合)。アプリアイコンを作成する必要もあります。また、ご自身、組織、知的財産権を保護するためにエンドユーザー ライセンス契約(EULA)の準備が必要となる場合もあります。

リリースに向けてアプリを準備する方法については、リリース バージョンを構成しビルドする詳しい手順が記載されたリリースの準備をご覧ください。

リリースに向けたアプリの準備が完了すると、ユーザーに配信できる署名済み APK ファイルができあがります。

アプリをユーザー向けにリリースする

Android アプリをリリースする場合、いくつかの方法があります。通常は、Google Play などのアプリ マーケットプレイスを通じてアプリをリリースします。自前のウェブサイトでリリースする方法や、アプリをユーザーに直接送信する方法もあります。

アプリ マーケットプレイスを通じてリリースする

アプリをできるだけ多くのユーザーに配信したい場合は、アプリ マーケットプレイスを通じてリリースします。

Google Play は Android アプリ向けの主要なマーケットプレイスであり、アプリを世界中の多数のユーザーに配信したい場合は特に有用です。ただし、他のアプリ マーケットプレイスでもアプリを配信することは可能です。複数のマーケットプレイスを利用することもできます。

Google Play でアプリをリリースする

Google Play は、Android アプリを世界中のユーザーに公開、販売、配信できる安定した公開用プラットフォームです。Google Play を通じてアプリをリリースすると、各種開発ツールを使用して販売を分析したり、マーケットの傾向を把握したり、アプリの配信先を制限したりできます。

Google Play では、アプリ内課金アプリ ライセンスなど、収益を向上させる機能も利用できます。このツールや機能に加え、さまざまなエンドユーザー コミュニティ機能を利用できることが Google Play の大きなメリットであり、この点が Android アプリを販売するマーケットとしての優位性となっています。

Google Play でのアプリのリリースは、次の 3 つの基本ステップで構成されるシンプルなプロセスです。

  • 宣伝素材を準備する

    Google Play のマーケティング機能と宣伝機能をフル活用するには、アプリの宣伝素材として使用するスクリーンショット、動画、画像、プロモーション テキストなどを作成する必要があります。

  • オプションを設定し、アセットをアップロードする

    Google Play では、全世界規模のユーザーやデバイスをアプリのターゲットにできます。Google Play のさまざまな設定を利用して、販売対象にする国、掲載情報に使用する言語、各国での価格などを設定できます。

    掲載情報の詳細(アプリのタイプ、カテゴリ、コンテンツのレーティングなど)も設定できます。設定が完了したら、宣伝素材とアプリをドラフトアプリとしてアップロードできます。

  • アプリのリリース バージョンを公開する

    公開設定に問題がないことを確認できたら、いよいよアップロード済みのアプリを公開します。[公開] をクリックします。Google Play の審査に合格すると、アプリが公開され、世界中でダウンロードできるようになります。

詳しくは、Google Play の機能をご覧ください。

ウェブサイトを通じてリリースする

アプリを Google Play などのマーケットプレイスでリリースしたくない場合は、自前のウェブサイトまたはサーバー(個人や企業のサーバー)からアプリをダウンロードできるようにすることも可能です。

ウェブサイトを通じてリリースするには:

  1. リリースに向けてアプリを準備します。
  2. リリース可能な APK ファイルをウェブサイトでホストします。
  3. ユーザーにダウンロード リンクを提供します。

ユーザーが Android 搭載デバイスでダウンロード リンクをタップすると、ファイルがダウンロードされて、Android システムによりデバイスへのインストールが自動的に開始されます。

注: インストール プロセスが自動的に開始されるのは、ユーザーのデバイスが提供元不明のアプリのインストールを許可する設定になっている場合に限られます。

自前のウェブサイトでアプリをリリースする方法は比較的簡単ですが、非効率的な面もあります。たとえばアプリを収益化する場合、すべての金融取引をご自身で処理して追跡する必要があります。また、Google Play のアプリ内課金サービスを利用してアプリ内アイテムを販売することはできません。アプリの不正なインストールと使用を防ぐためにアプリのライセンスを使用することもできません。

提供元不明のアプリとソースに対するユーザーのオプトイン

Android には、Google Play などの信頼できるファーストパーティ アプリストア以外の提供元から、ユーザーがアプリを不注意にダウンロードまたはインストールすることを防止する機能があります。そうした提供元からのアプリのインストールは、ユーザーが許可するまでブロックされます。このオプトイン プロセスは、ユーザーのデバイスで実行されている Android のバージョンによって異なります。

提供元不明のアプリのインストールを許可する設定画面のスクリーンショット。

図 1. [不明なアプリのインストール] システム設定画面(この画面で、ユーザーは特定の提供元に対して不明なアプリをインストールする権限を付与できます)

  • Android 8.0(API レベル 26)以上を実行しているデバイスでは、特定の提供元からのアプリをインストールできるようにするには、[不明なアプリのインストール] システム設定画面に移動する必要があります。
  • Android 7.1.1(API レベル 25)以下を実行しているデバイスでは、[提供元不明のアプリ] システム設定を有効にするか、提供元不明のアプリのインストールを一度に 1 つだけ許可する必要があります。

不明なアプリをインストールする

Android 8.0(API レベル 26)以降を搭載したデバイスでは、ユーザーはファーストパーティ アプリストアでない提供元からアプリをインストールする権限を付与する必要があります。そのためには、図 1 に示すように、[不明なアプリのインストール] システム設定画面で、その提供元に対して [アプリのインストールを許可する] 設定を有効にします。

注: ユーザーは、特定の提供元に対して、この設定をいつでも変更できます。したがって、不明なアプリをインストールする提供元は、 canRequestPackageInstalls() を呼び出して、ユーザーが不明なアプリをインストールする権限を提供元に付与しているかどうかを常にチェックする必要があります。このメソッドが false を返した場合、提供元は、[アプリのインストールを許可する] 設定を提供元に対して再度有効にするようユーザーに要求します。

提供元不明のアプリ

提供元不明のアプリのダウンロードとインストールを許可する設定を示すスクリーンショット。

図 2. [提供元不明のアプリ] 設定(ユーザーが Google Play 以外でダウンロードしたアプリをインストールできるかどうかを示します)

Android 7.1.1(API レベル 25)以前を搭載したデバイスにファーストパーティ以外の提供元からアプリをインストールできるようにするには、図 2 に示すように、[設定] > [セキュリティ] の [提供元不明のアプリ] 設定を有効にします。

Android 7.1.1(API レベル 25)以前を搭載したデバイスに不明なアプリをインストールしようとすると、インストールを許可する不明なアプリが 1 つだけかどうかを確認するダイアログが表示されることがあります。ほとんどの場合、このダイアログが表示されても、不明なアプリのインストールの許可は一度に 1 つだけにすることをおすすめします。

どちらのケースでも、ユーザーは不明なアプリをデバイスにダウンロードしてインストールする前に、この設定を変更する必要があります。

注: 一部のネットワーク プロバイダは、提供元不明のアプリのインストールを許可していません。