djay は、ドイツを拠点とする Algoriddim が開発した、Android で最も成功した音楽アプリのひとつです。このアプリは当初、パソコン向けに提供されていました。ノートパソコン向け djay の最初のバージョンは 2006 年に開発され、初心者からプロまで、あらゆる DJ がプレイを楽しめる安定した性能と、MIDI コントローラやオーディオ インターフェースなど外部ハードウェアのサポートを備えていました。まもなくしてスマートフォンが普及すると、Algoriddim はモバイル版 djay を開発し、世界で初めて何百万人ものユーザーがターンテーブルを手軽にプレイできるようにしました。
そして今や Chromebook のようなデバイスが多く登場する中、パソコンとモバイルの操作性の違いはほとんどなくなり、モバイル プラットフォームでも高性能でプロのような設定が当たり前になりつつあります。Algoriddim は ChromeOS で、パソコン向けとモバイル向けの設計で学んだすべてを 1 つのプラットフォームで実現し、優れたエクスペリエンスを実現する機会を与えました。
同社がモバイルのタッチスクリーン機能と、パソコンの高性能で没入感のある大画面表示、そして主要な外部ハードウェアのサポートをどのようにアプリに取り入れたかを以下にご紹介します。
Eyecon の取り組み
Algoriddim では、djay の大画面デスクトップ向けのレイアウトを初日から設計しており、最適化のほとんどは ChromeOS のパフォーマンスと機能をフルに活用していました。その中でも優先順位が最も高かったのは、すべての DJ が必要とするオーディオ サポートを提供することでした。
マルチチャンネル オーディオと MIDI のサポート
オーディエンスがメインミックスで聴く前に、DJ がヘッドフォンで次のトラックを聴きながら準備できるようにするには、マルチチャンネル オーディオが不可欠です。また、ビートパッドやサンプラーなど外部の MIDI ハードウェア デバイスをノートパソコンにつなげて使う DJ も多いため、MIDI 信号を低遅延で送受信できるようにすることも重視しました。
当初の Android 版 djay アプリにも基本的な MIDI 機能はありましたが、プロの DJ には不十分なものでした。ChromeOS は DJ がモバイルで本格的な サポートをする機会をもたらしましたAlgoriddim は Android のオーディオ チームと緊密に連携し、djay の内部 MIDI スタックに Android MIDI API を実装しました。また、Android オーディオ SDK を使用してアプリをマルチチャンネル オーディオ向けに最適化することで、DJ が別のステレオ チャンネルをアプリからスピーカーやヘッドフォンにルーティングできるようにしました。
このようにパソコンレベルの性能をモバイル ユーザー向けに最適化することで、結果的に djay の当初のハイエンドなオーディオ機能を再現することができました。
全画面レイアウトをタブレット向けに最適化
Algoriddim は、アーティストが画面の大きなデバイスでアプリをどのように使用できるかを検討した結果、一般的なスマートフォンやパソコンとは異なる操作性を提供できることに気づきました。
つまり、モバイルの UI をただ大きく表示するのではなく、エフェクト パッドやイコライザーなどアプリの一部の要素や機能をタブレットやタッチ画面搭載のノートパソコン向けに別の方法で表示することにしたのです。この表示方法は、頻繁に複数のコントロールにアクセスして異なる効果を同時に実現する必要のある DJ に、非常に大きなメリットをもたらしました。クロスフェーダーの移動や複数のエフェクトの適用はもちろん、ある曲のベースを下げながら次の曲の音量とベースを上げることでシームレスなミキシングを行う場合などにも有効でした。
スマートフォンや小さなデバイスでは、コア機能を補助ビュー内に配置していたためメイン UI が見づらくなっていましたが、画面領域が広がったことで、コア機能をメイン UI に追加できるようになりました。これにより、強力なマルチタッチが可能となり、DJ のワークフローが妨げられなくなりました。
さらに、広い画面でタッチスクリーン インターフェースとキーボードや MIDI コントロールを組み合わせて使用することで、DJ はまったく新しい方法で、ライブ パフォーマンスにおける革新的なワークフローを実現できるようになりました。
結果
Algoriddim は、djay の PC 版とモバイル版の優れた機能を組み合わせて大画面デバイスで利用できるようにしたことで、世界中の何百万人ものアーティストにリーチすることができました。MIDI サポート、マルチチャンネル オーディオ、タッチスクリーン機能、キーボードとマウスによる入力など、独自の機能を組み込んだ djay には、スキルフルな DJ が必要とする反応性に優れた高性能な設定だけでなく、これから始める初心者 DJ にも必要なすべてが揃っています。
Algoriddim では、ChromeOS でアプリをリリースして以来、すでに数百万もの新規アプリがダウンロードされ、全体で 25% 増加しています。世界中の DJ から好評の声が続々と届き、利用頻度もパソコンとモバイルの両方で大幅に増えています。
Algoriddim の最高技術責任者である Frederik Seiffert 氏は、すべてがシームレスに機能することに満足しています。「当社は、次のスターを目指す子供でも長年の経験を持つプロでも、すべての DJ が自分のデバイスで必要なツールを使えるようなエコシステムの構築に常に取り組んできました。ChromeOS に djay を導入することは、次世代の DJ にインスピレーションを与え、アーティストとして成長するための新たな道を切り開く大きな一歩であり、このアプリに対する私たちのビジョンに合致しています。」
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