他のビルドシステムで NDK を使用する

NDK は、ndk-buildCMake を公式にサポートしています。ほとんどのユーザーにとって、アプリケーション コードのビルドに関する各種ガイドの参照が必要になります。このドキュメントでは、他のビルドシステムを使用している既存のコードをビルドする方法を説明します。多くの場合、OpenSSL や libbzip2 など、Android 固有ではないサードパーティの依存関係がある場合がこれに該当します。

ビルドシステムのメンテナンスとしてビルドシステムにネイティブ NDK サポートを追加する場合は、ビルドシステム メンテナンス ガイドの方をお読みください。

概要

NDK の Clang コンパイラは、ターゲットの環境を定義するために必要な最小限の設定のみで使用できます。

適切なアーキテクチャを対象としてビルドするには、Clang を起動した際に -target とともに適切なターゲットを渡すか、ターゲットをプレフィックスとして Clang を起動します。たとえば、minSdkVersion が 21 の 64 ビット ARM Android 向けにコンパイルするには、以下のコードのいずれか使いやすい方を使用できます。

$ $NDK/toolchains/llvm/prebuilt/$HOST_TAG/bin/clang++ \
    -target aarch64-linux-android21 foo.cpp
$ $NDK/toolchains/llvm/prebuilt/$HOST_TAG/bin/aarch64-linux-android21-clang++ \
    foo.cpp

いずれの場合も、$NDK を NDK のパスに、$HOST_TAG を下記の表のとおりにダウンロードした NDK に置き換えます。

NDK OS 種別 ホストタグ
macOS darwin-x86_64
Linux linux-x86_64
64 ビット Windows windows-x86_64

ここでのプレフィックスまたはターゲット引数の形式は、ターゲットの 3 つの組に minSdkVersion を表すサフィックスを付けたものです。このサフィックス clang/clang++ でのみ使用します。binutils ツール(arstrip など)では minSdkVersion の影響を受けないためサフィックスは不要です。Android がサポートするターゲットの 3 つの組は以下のとおりです。

ABI 3 つの組
armeabi-v7a armv7a-linux-androideabi
arm64-v8a aarch64-linux-android
x86 i686-linux-android
x86-64 x86_64-linux-android

多くのプロジェクトのビルド スクリプトでは、各コンパイラが OS とアーキテクチャの組み合わせを 1 組のみターゲットとする GCC 方式のクロス コンパイラが想定されているため、-target を適切に処理できない場合があります。このような場合、通常は、コンパイラ定義の一部として -target 引数を含めるか(CC="clang -target aarch64-linux-android21 など)、トリプル プレフィックスの付いた Clang バイナリを使用できます。

Autoconf

Autoconf プロジェクトでは、環境変数とともに使用するツールチェーンを指定できます。たとえば、次の例は、Linux で API レベル 21 の minSdkVersion を使用して Android x86-64 用の libpng をビルドする方法を示しています。

# Check out the source.
git clone https://github.com/glennrp/libpng -b v1.6.37
cd libpng
# Only choose one of these, depending on your build machine...
export TOOLCHAIN=$NDK/toolchains/llvm/prebuilt/darwin-x86_64
export TOOLCHAIN=$NDK/toolchains/llvm/prebuilt/linux-x86_64
# Only choose one of these, depending on your device...
export TARGET=aarch64-linux-android
export TARGET=armv7a-linux-androideabi
export TARGET=i686-linux-android
export TARGET=x86_64-linux-android
# Set this to your minSdkVersion.
export API=21
# Configure and build.
export AR=$TOOLCHAIN/bin/llvm-ar
export CC=$TOOLCHAIN/bin/$TARGET$API-clang
export AS=$CC
export CXX=$TOOLCHAIN/bin/$TARGET$API-clang++
export LD=$TOOLCHAIN/bin/ld
export RANLIB=$TOOLCHAIN/bin/llvm-ranlib
export STRIP=$TOOLCHAIN/bin/llvm-strip
./configure --host $TARGET
make

このサンプルで選択したツールは、NDK r22 以降に対応しています。それよりも古い NDK では、別のツールが必要になる場合があります。

Autoconf 以外の make プロジェクト

Makefile プロジェクトの中には、autoconf プロジェクトの場合と同じ変数をオーバーライドすることでクロス コンパイルできるものもあります。たとえば、次の例は、minSdkVersion 21 を使用して Android x86-64 用の libbzip2 をビルドする方法を示しています。

# Check out the source.
git clone https://gitlab.com/bzip/bzip2.git
cd bzip2

# Only choose one of these, depending on your build machine...
export TOOLCHAIN=$NDK/toolchains/llvm/prebuilt/darwin-x86_64
export TOOLCHAIN=$NDK/toolchains/llvm/prebuilt/linux-x86_64

# Only choose one of these, depending on your device...
export TARGET=aarch64-linux-android
export TARGET=armv7a-linux-androideabi
export TARGET=i686-linux-android
export TARGET=x86_64-linux-android

# Set this to your minSdkVersion.
export API=21

# Build.
make \
    CC=$TOOLCHAIN/bin/$TARGET$API-clang \
    AR=$TOOLCHAIN/bin/llvm-ar \
    RANLIB=$TOOLCHAIN/bin/llvm-ranlib \
    bzip2

このサンプルで選択したツールは、NDK r22 以降に対応しています。それよりも古い NDK では、別のツールが必要になる場合があります。