Android Gradle プラグイン 4.2.0(2021 年 3 月)
互換性
最小バージョン | デフォルトのバージョン | 備考 | |
---|---|---|---|
Gradle | 6.7.1 | なし | 詳細については、Gradle のアップデートをご覧ください。 |
SDK Build Tools | 30.0.2 | 30.0.2 | SDK Build Tools をインストールまたは設定します。 |
NDK | なし | 21.4.7075529 | 別のバージョンの NDK をインストールまたは設定します。 |
新機能
このバージョンの Android Gradle プラグインには、次の新機能が含まれています。
Java 言語バージョン 8(デフォルト)
バージョン 4.2 以降では、AGP はデフォルトで Java 8 言語レベルを使用します。Java 8 では、ラムダ式、メソッド参照、静的インターフェース メソッドなど、多くの新しい言語機能にアクセスできます。サポートされている全機能の一覧については、Java 8 のドキュメントをご覧ください。
以前の動作を維持するには、モジュール レベルの build.gradle.kts
または build.gradle
ファイルで Java 7 を明示的に指定します。
// build.gradle
android {
...
compileOptions {
sourceCompatibility JavaVersion.VERSION_1_7
targetCompatibility JavaVersion.VERSION_1_7
}
// For Kotlin projects, compile to Java 6 instead of 7
kotlinOptions {
jvmTarget = "1.6"
}
}
// build.gradle.kts
android {
...
compileOptions {
sourceCompatibility = JavaVersion.VERSION_1_7
targetCompatibility = JavaVersion.VERSION_1_7
}
// For Kotlin projects, compile to Java 6 instead of 7
kotlinOptions {
jvmTarget = "1.6"
}
}
新しい JVM リソース コンパイラ
Android Gradle プラグイン 4.2 ツールの新しい JVM リソース コンパイラは、AAPT2 リソース コンパイラの一部を置き換えるため、特に Windows マシンでのビルド パフォーマンスが改善される可能性があります。新しい JVM リソース コンパイラはデフォルトで有効になります。
v3 と v4 の署名のサポート
Android Gradle プラグイン 4.2 で、APK v3 と APK v4 の署名形式がサポートされるようになりました。ビルドでこれらの形式のいずれかまたは両方を有効にするには、モジュール レベルの build.gradle
または build.gradle.kts
ファイルに次のプロパティを追加します。
// build.gradle
android {
...
signingConfigs {
config {
...
enableV3Signing true
enableV4Signing true
}
}
}
// build.gradle.kts
android {
...
signingConfigs {
config {
...
enableV3Signing = true
enableV4Signing = true
}
}
}
APK v4 署名を使用すると、Android 11 で ADB の増分 APK インストールを使用して、サイズの大きな APK を迅速にデプロイできます。この新しいフラグでは、デプロイ プロセスで APK 署名の手順が考慮されます。
バリアントごとにアプリ署名を設定する
Android Gradle プラグインでバリアントごとにアプリ署名を有効または無効に設定できるようになりました。
Kotlin または Groovy の onVariants()
メソッドを使用して、バリアントごとにアプリ署名を設定する方法の例を次に示します。
androidComponents {
onVariants(selector().withName("fooDebug"), {
signingConfig.enableV1Signing.set(false)
signingConfig.enableV2Signing.set(true)
})
新しい Gradle プロパティ: android.native.buildOutput
ビルド出力の煩雑さを軽減するために、AGP 4.2 では CMake と ndk-build
を使用しているネイティブ ビルドからのメッセージがフィルタされ、C/C++ コンパイラ出力のみがデフォルトで表示されます。以前は、ビルドされるファイルごとに出力行が生成されていたため、大量の情報メッセージが出力されていました。
ネイティブ出力全体を表示するには、新しい Gradle プロパティ android.native.buildOutput
を verbose
に設定します。
このプロパティは、gradle.properties
ファイルまたはコマンドラインから設定できます。
gradle.properties
android.native.buildOutput=verbose
コマンドライン
-Pandroid.native.buildOutput=verbose
このプロパティのデフォルト値は quiet
です。
gradle.properties ファイルでの動作の変更
AGP 4.2 以降では、サブプロジェクトから Gradle プロパティをオーバーライドできなくなりました。つまり、ルート プロジェクトではなくサブプロジェクト内の gradle.properties
ファイルでプロパティを宣言すると、無視されます。
たとえば以前のリリースでは、AGP は <var>projectDir</var>/gradle.properties
、<var>projectDir</var>/app/gradle.properties
、<var>projectDir</var>/library/gradle.properties
などから値を読み取っていました。アプリ モジュールでは、同じ Gradle プロパティが <var>projectDir</var>/gradle.properties
と <var>projectDir</var>/app/gradle.properties
の両方に存在する場合、<var>projectDir</var>/app/gradle.properties
からの値が優先されていました。
AGP 4.2 ではこの動作が変更され、AGP はサブプロジェクトの gradle.properties
からは値を読み込みません(例: <var>projectDir</var>/app/gradle.properties
)。この変更は、新しい Gradle の動作を反映しており、構成のキャッシュに対応しています。
gradle.properties
ファイルの値の設定について詳しくは、Gradle のドキュメントをご覧ください。
Gradle の互換性と構成の変更
Android Studio で実行する場合、Gradle ビルドツールは Studio のバンドルされた JDK を使用します。以前のリリースでは、JDK 8 が Studio にバンドルされていました。しかし、4.2 では JDK 11 がバンドルされるようになりました。新しくバンドルされた JDK を使用して Gradle を実行すると、ガベージ コレクタに加えられた変更により、一部で非互換性が生じる場合や JVM のパフォーマンスが影響を受ける場合があります。以下では、これらの問題について説明します。
注: JDK 11 で Gradle を実行することをおすすめしますが、Gradle の実行に使用する JDK は、プロジェクト構造ダイアログで変更できます。この設定を変更しても、Gradle の実行に使用される JDK のみが変更され、Studio 自体の実行に使用される JDK は変更されません。
Android Gradle プラグイン(AGP)との Studio の互換性
Android Studio 4.2 では、AGP 3.1 以降を使用するプロジェクトを開くことができます。ただし、AGP が Gradle 4.8.1 以降を実行している場合に限ります。Gradle の互換性の詳細については、Gradle のアップデートをご覧ください。
Gradle ビルドを JDK 11 用に最適化する
JDK 8 は並列ガベージ コレクタを使用し、JDK 11 は G1 ガベージ コレクタを使用するため、今回の JDK 11 へのアップデートは JVM ガベージ コレクタのデフォルト設定に影響を与えます。
ビルドのパフォーマンスを改善するには、並列ガベージ コレクタを使用して Gradle ビルドをテストすることをおすすめします。gradle.properties
で次のように設定します。
org.gradle.jvmargs=-XX:+UseParallelGC
このフィールドにすでに他のオプションが設定されている場合は、新しいオプションを追加します。
org.gradle.jvmargs=-Xmx1536m -XX:+UseParallelGC
さまざまな構成でビルド速度を測定するには、ビルドのプロファイリングを行うをご覧ください。
minSdk
= 28 以降の場合、APK 内の DEX ファイルが圧縮されない
minSdk
= 28 以降の場合、AGP はデフォルトで DEX ファイルを圧縮せずに APK にパッケージ化します。これにより APK のサイズは増加しますが、デバイス上のインストール サイズは小さくなり、ダウンロード サイズはほぼ同じになります。
AGP で圧縮された DEX ファイルをパッケージ化するように強制するには、build.gradle
ファイルに次の行を追加します。
android {
packagingOptions {
dex {
useLegacyPackaging true
}
}
}
DSL を使用して圧縮ネイティブ ライブラリをパッケージ化する
ネイティブ ライブラリは非圧縮形式でパッケージ化することをおすすめします。これにより、アプリのインストール サイズとアプリのダウンロード サイズが小さくなり、ユーザーのアプリの読み込み時間が短縮されます。ただし、アプリのビルド時に Android Gradle プラグインで圧縮ネイティブ ライブラリをパッケージ化する場合、アプリの build.gradle
ファイルで useLegacyPackaging
を true
に設定します。
android {
packagingOptions {
jniLibs {
useLegacyPackaging true
}
}
}
フラグ useLegacyPackaging
は、マニフェスト属性 extractNativeLibs
に代わるものです。背景については、リリースノートの 非圧縮ネイティブ ライブラリのパッケージ化(デフォルト)をご覧ください。