ADC 優秀賞受賞アプリ
勝者
Esske は、コンゴのユーザーのためにモバイルマネーの操作を簡素化し、より直感的で利用しやすいものにします。

開発者: David Kathoh

拠点: ゴマ(コンゴ民主共和国)

勝者
UnoDogs は、カスタマイズされた情報とフィットネス プログラムを通して、飼い主がペットの健康をより適切に管理できるようにします。

開発者: Chinmay Mishra

拠点: ニューデリー(インド)

勝者
AgriFarm は、農業従事者が農作物の病気を検出し、大きな被害を防ぐために役立ちます。

開発者: Mirwise Khan

拠点: バロチサン(パキスタン)

勝者
Stila は、身体のストレスレベルをモニタリングおよびトラッキングし、ユーザーが自分の生活におけるストレスをより適切に把握して管理できるようにします。

開発者: Yingding Wang

拠点: ミュンヘン(ドイツ)

勝者
Snore and Cough アプリは、いびきと咳を識別し、ユーザーが医療専門家に相談できるようにします。

開発者: Ethan Fan

拠点: カリフォルニア州マウンテンビュー(米国)

勝者
Leepi を使用すると、アメリカ手話のハンド ジェスチャーとシンボルを学習できます。

開発者: Prince Patel

拠点: ベンガルール(インド)

勝者
MixPose は、ヨガの教師とフィットネスの専門家がリアルタイムで生徒を指導し、身体ポジションをトラッキングして、フィードバックを与えることを可能にするライブ ストリーミング プラットフォームです。

開発者: Peter Ma

拠点: カリフォルニア州サンフランシスコ(米国)

勝者
Path Finder は、物体検出と軌道計算を使用して、視覚障がいを持つ人が複雑な環境を移動する際の手助けをします。

開発者: Colin Shelton

拠点: テキサス州アディソン(米国)

勝者
Trashly を使用すると、ユーザーがリサイクルを行って廃棄物を減らすことが簡単になります。

開発者: Elvin Rakhmankulov

拠点: イリノイ州シカゴ(米国)

勝者
AgroDoc は、地理的位置と気候が似ている農業従事者からデータを収集し、農作物の病気を診断して治療プランを作成します。

開発者: Navneet Krishna

拠点: コチ(インド)

はじめに

文: Luke Dormehl

イラスト: Hannah Perry

「機械学習の飛躍的進歩によって、日々の生活はより暮らしやすく豊かなものになりつつあります。」

コンピュータの瞬きをしない赤い眼がユーザーを見つめ返します。システムは感情のない冷たい声で話します。「申し訳ありません、デイブ。ご命令に従えなくて残念です」とシステムは言います。「2001 年宇宙の旅」のこの象徴的なシーンで、主人公は世界で最も役に立たないアシスタントである HAL 9000 と対決します。自己保存という名目で AI システムは主人公の命令を無視し、乗組員を死に至らしめます。これは誰もが見たい未来ではありません。人々は、コンピュータが人類に取って代わったり人類の邪魔をしたりするのではなく、人類を助けることを望んでいます。人々が求めているのはディストピアではなく、テクノロジーが問題を増やす代わりに解決策の発見を助けるユートピア的な世界です。今日のテクノロジーはかつてないほど強力です。したがって、テクノロジーを構築して使用する方法は、その仕組みと同じくらい重要です。人類を中心に据えることで、未来をより良いものに変えるテクノロジーを構築できます。

もちろん、そのときを長く待つ必要はありません。機械学習の飛躍的進歩に支えられた数多くの支援テクノロジーにより、私たちの日々の生活はより暮らしやすく豊かなものになりつつあります。渋滞、大気汚染、交通事故を減らす可能性がある自動運転車が登場しています。ML 支援翻訳ツール、医療診断ソフトウェア、コンテキスト認識デバイスなどのテクノロジーは、多くの人々にとって日常のルーティンの一部になっています。ユーザーがメッセージを入力する際に候補を提示する Gmail のスマート作成などの機能、耳が聴こえない人と難聴の人が 70 を超える言語と方言で音声文字変換キャプションを即時に受信できる Android の音声文字変換機能、数百万人の人々が毎日のスケジュールを常に把握するために役立っている Google アシスタントは、テクノロジーでより良い未来を創造するという Google のビジョンを如実に示しています。

有用なイノベーションというこの理念がどこよりも重要性を持つ分野は、モバイル デバイスです。Android は、2008 年に発売されて以来、世界で最も人気のあるモバイル プラットフォームになりました。機械学習による画像認識の進歩により、ユーザーはスマートフォンのカメラをテキストに向けるだけで、Google 翻訳を通じてそれを 88 の異なる言語に即時翻訳できます。また、携帯電話は世界中で(特に発展途上国の急成長中の市場で)好んで選ばれるデバイスになっているため、人間中心のアプリを念頭に置いて新しいツールを構築することが必要不可欠です。有用なイノベーションは、情報へのアクセス、使用、解釈の方法を変え、必要なときに必要な場所で利用できるようにする可能性を持っています。

たとえば、洪水を予測して、被害を受ける人々に直接警報を出すことができます。または、コーヒーカップなどの品物の写真をすばやく撮って、最寄りのリサイクル場所への道順を調べることもできます。新しいテクノロジーの開発は簡単ではありません。それは、ハードウェアの進歩、ソフトウェアの新発見、およびそうした新しいエクスペリエンスを構築するデベロッパーに依存しています。Android Developer Challenge は、「有用なイノベーション」に焦点を当てることで、機械学習の実例をユーザーが利用できるように提供するとともに、この新しいテクノロジーの可能性を切り開くであろう今後のデベロッパーに刺激を与えます。

はじめに

文: Christopher Katsaros

インタビュー: Joanna Goodman

イラスト: Ori Toor

あなたが大学を卒業したばかりであれば、「マウス」とは、夜になるとときおり寮の周りを這いまわる迷惑な生き物を意味しているかもしれません。コンピュータ マウスを何度か使用したことがあるとしても、それは学校の図書館の地下室にある時代遅れのシステムに接続されていたのではないでしょうか。とはいえ、信じられないかもしれませんが、コンピュータ マウスはコンピュータの操作を容易にし、コンピュータの個人利用を推し進める重要な一歩だったのです。

1960 年代から 1990 年代にかけて米国の主要なコンピュータ メーカーだった Digital Equipment Corporation の創設者が「誰もが自宅にコンピュータを置きたがる理由はない」と述べた頃、スティーブ・ジョブズはグラフィカル ユーザー インターフェースという新しい分野を開拓しました。そして、その中心となったのがマウスでした。これがパーソナル コンピューティングの先駆けとなり、設計における新時代が到来しました。その後、コンピューティング設計には、さらに 2 つの重要な革命が起こりました。それぞれの革命は、人とデバイスの関係をより親密で個人的で人間的なものにする大きな変化をもたらしました。

モバイルの波が押し寄せるとともに、Android と iOS が最初の重要な変化を先導しました。当初、モバイルとは、画面が小さく、パワーが乏しく、機能が少ないことを意味していました。しかし、デベロッパーはすぐにモバイルの可能性に気づきました。スワイプ、タップ、タッチ、ポーク(これらはモバイル特有の用語です)は、画面の枠に囚われない思考によってモバイルの可能性を押し広げました。コンピュータのキャンバスはモニターの境界を超え、今では幾重にも積み重なった情報のレイヤがユーザーにサービスを提供すべく待ち構えています。その後、場所とアイデンティティのコンテキストにおいて、コンピューティング設計にさらに 2 つの重要な革命が起こりました。それぞれの革命は、人とデバイスの関係をより親密で個人的で人間的なものにする大きな変化をもたらしました。

モバイルの波が押し寄せるとともに、Android と iOS が最初の重要な変化を先導しました。当初、モバイルとは、画面が小さく、パワーが乏しく、機能が少ないことを意味していました。しかし、デベロッパーはすぐにモバイルの可能性に気づきました。スワイプ、タップ、タッチ、ポーク(これらはモバイル特有の用語です)は、画面の枠に囚われない思考によってモバイルの可能性を押し広げました。コンピュータのキャンバスはモニターの境界を超え、今では幾重にも積み重なった情報のレイヤがユーザーにサービスを提供すべく待ち構えています。そして、場所、アイデンティティ、移動のコンテキストにおいて、モバイルを通じて人間が経験できることが拡大し、それによってデスクトップの役割が縮小しました。次の重要な変化であった機械学習は、人間中心の設計に焦点を絞った進化をもたらしました。

自宅に置けるコンピュータという発想が大胆だったとすれば、会話できるコンピュータという発想はもっと大胆です。今では、美しい花にカメラを向け、Google レンズを使用して花の種類を識別し、母親に贈る花束を注文するためのリマインダーを設定することすら可能です。「Google レンズは、コンピュータ ビジョン モデルを使用して検索を拡張し、高速化できます。」Google のシニアスタッフ ユーザー リサーチャー兼人間および AI リサーチチーム共同リードである Jess Holbrook はそう述べています。「検索にいつもカメラが必要なわけではありませんが、この機能は何かの名前を忘れたときなどに便利です。検索するために立ち止まって長い説明を入力せずに済むからです。カメラを使うほうがはるかに簡単です。」

Yossi Matias へのインタビュー

文: Luke Dormehl

イラスト: Manshen Lo

Yossi Matias は、Google のエンジニアリング担当バイス プレジデントであり、イスラエルの Google 研究開発センターの創立者にしてマネージング ディレクターであり、AI for Social Good の共同リードでもあります。

AI 全般に関する著名なソートリーダーである Matias が、オンデバイス機械学習、スマート環境、そして人類に貢献する AI 利用の可能性について語ります。

Q. あなたの AI への取り組みと関心を促している要因は何ですか?

A. 私はテクノロジーの開発に関心を抱いており、テクノロジーを利用して困難な問題を解決し、インパクトを与えたいと思っています。現在私が取り組んでいるプロジェクトには、Google Duplex などの会話型 AI があります。Google Duplex は、自然な音声を使用して、レストランの予約などのタスクを電話で実行する自動システムです。Read It は、Google アシスタントを使用してスマートフォンからウェブ記事の読み上げを行います。通話スクリーニングや自動字幕起こしのようなオンデバイス テクノロジーにも取り組んでいます。社会貢献のための AI の一般的な使用にも非常に興味があります。たとえば、機械学習、クラウド コンピューティング、水力シミュレーションなどのテクノロジーを使用した、より精度の高い洪水予測などです。

Q. AI for Social Good というイニシアチブはどのようにして生まれたのですか?

A. 私が思う Google の文化の美点のひとつは、多くの人がテクノロジーを使用して重要な問題を解決する方法を発見することに関心を持っている点です。AI for Social Good は多くの分野に寄与する可能性があります。たとえば、健康、生物多様性、アクセシビリティの向上、クライシス レスポンス、サステナビリティなどです。Google の数人の社員が集まって、いくつかの問題をピックアップしました。Google がそれらの問題の解決を支援できれば、実効性のある方法で人々の生活と社会に実際に利益をもたらすことができるでしょう。そこで私たちは、Google の内外を問わず、社会貢献に関連するイニシアチブに取り組むすべての人を支援するために、AI for Social Good を立ち上げました。クラウドで利用できる今日の機械学習テクノロジーは、現実の社会問題を特定し、可能であれば解決するためのツールを全世界の多くの人々が入手することを実現しました。これは、歴史的に前例のない状況です。

Q. オンデバイス テクノロジーはどのような役割を果たすことができますか?

今日のモバイル デバイスは日に日に強力になっています。それにより私たちは、デバイス上で実行できる機械学習手法を活用する機会を手にしています。このことは、接続に依存することなく特定のアプリにすぐにアクセスできるなど、いくつかの理由で重要です。また、個人データを扱うときにデバイスから何も失われないようにしたいという状況においても重要です。通話スクリーニング、自動字幕起こし、音声文字相互変換はそれぞれ、デバイス上で会話型 AI を使用して着信をより適切にコントロールする方法、聴覚障がい者が話し相手の声の文字起こしを表示する方法、聴覚障がい者がスマートフォンで会話する方法の例です。

Q. アンビエント インテリジェンスはなぜ大きな変革をもたらすのですか?

A. 有用なテクノロジーが力を発揮するのは、それが環境に深く埋め込まれているために、誰の注意も引かずに機能するときです。多くのテクノロジーは最初は私たちを驚かせますが、すぐに私たちはそれを当たり前のものと思うようになります。会話型 AI は、言語などの意思疎通の手段の障壁を取り除き、より良いコミュニケーションを可能にします。機械が私たちをもっと理解し、自然な方法で私たちと話すようにする(実質的に環境の一部にする)ことによって、ユーザーは機械に対して明示的になんらかの行為を要求する認知的負荷から解放され、より自然に機械と対話できるようになります。

Q. 機械学習ツールが利用可能であることがなぜ重要なのですか?

A. Android Developer Challenge は、クラウド テクノロジーとオンデバイス テクノロジーの門戸を開くことの重要性を示しています。Google は、イノベーションが至る所で万人から生まれる状況を強く望んでいます。私たちは、可能な限りイノベーションを奨励、支援し、アイデアとアドバイスを提供できるようにしたいと考えています。私はこのプログラムにご参加いただいた皆様の活動を目にして、心から嬉しく思っています。皆様の情熱が世界中に広がり、最先端のテクノロジーがもっと活用されるようになることを私たちが支援できれば、人々のために大いに役立つ驚くべき革新的な成果が得られるでしょう。

TensorFlow Lite

文: Luke Dormehl

イラスト: Sarah Maxwell

モバイルで革新的な機械学習ツールと機能を活用するにはどうすればよいでしょうか?その答えは TensorFlow Lite です。この強力な機械学習フレームワークは、Android デバイスと iOS デバイスで、通常であればサポートが不可能な機械学習モデルを実行するのに役立ちます。今日、TensorFlow Lite は全世界の数十億台のデバイスで動作しています。そして、そのツールセットは、画像検出から音声認識まで、あらゆる種類の強力なニューラル ネットワーク関連アプリに使用することができ、どこにでも持ち運べるデバイスに最先端のテクノロジーを導入します。

TensorFlow Lite では、サーバーやデータセンターに依存する必要がなく演算負荷の低いモデルを使用して、デバイスだけで機械学習処理の大半を実行できます。こうしたモデルは、実行が高速で、プライバシーの向上を可能にし、電力消費を削減します(接続がバッテリーを大量に消費することがあります)。また、重要な点として、場合によってはインターネット接続を必要としません。Android では、TensorFlow Lite は Neural Network API を介して専門的なモバイル アクセラレータにアクセスし、電力使用量を削減しつつパフォーマンスを向上させます。

「TensorFlow Lite は、サーバーへのラウンドトリップ レイテンシが原因でこの種のアプリをスターターにできなかったために以前は不可能だったユースケースを可能にします。」TensorFlow Lite 担当エンジニアリング ディレクターである Sarah Sirajuddin はそう言います。「そうしたユースケースの例としては、オンデバイスの音声認識、リアルタイムの動画操作機能、写真撮影時のリアルタイムの拡張機能などがあります。この分野におけるこれまでイノベーションは途方もないものでしたが、今後はさらなるイノベーションが起こるでしょう」と彼女は続けて言います。「このイノベーションには、機械学習をもっと容易にし、創造性と才能の発揮を強力にサポートするというエキサイティングな側面もあります。」

文: Luke Dormehl

イラスト: Sarah Maxwell

ML Kit

文: Joanna Goodman

イラスト: Tor Brandt

モバイルアプリのデベロッパーは、ML Kit を通して Google のオンデバイス機械学習テクノロジーを導入することにより、カスタマイズされたインタラクティブなエクスペリエンスを提供するアプリを開発できます。そうしたテクノロジーには、言語翻訳、テキスト認識、物体検出などのツールがあります。ML Kit では、データがデバイスに保持されるため、ユーザーのプライバシーを重視する方法を使用して、視覚データとテキストデータをリアルタイムで識別、分析し、ある程度理解できます。「これにより、機械学習がずいぶん身近なものになります」とプロダクト管理ディレクターの Brahim Elbouchikhi は言います。

「私たちは、Google の最高水準の ML モデルをシンプルなツールセットとして利用できるようにしました。したがって、デベロッパーは、ML の専門家がいなくても ML を利用するアプリを開発できます。複雑性はすべて隠蔽されているので、デベロッパーはコアプロダクトに集中できます。」たとえば、Language ID のようなツールは、テキスト文字列の言語を識別するのに役立ちます。Object Detection and Tracking は、画像やライブカメラ フィードに含まれる 1 つ以上の物体をリアルタイムでローカライズしてトラッキングするのに役立ちます。

Android Developer Challenge で受賞したいくつかのアプリを支えているのは、こうしたテクノロジーです。たとえば、Trashly ではリサイクルできる物質とリサイクルできない物質の識別を可能にし、UnoDogs では健康状態の良い犬と健康状態の悪い犬の識別を可能にしています。将来はどうなるでしょうか?目標は、テクノロジーが背景に退き、デバイスがユーザーのニーズをより良く理解するようになることだと Elbouchikhi は言います。「ML Kit はこの目標の実現を助けてくれます。ML Kit を通して、デベロッパーはユーザーのプライバシーとユーザーからの信頼を促進しつつ、直感的で適応性の高いエクスペリエンスを構築できます。」

文: Joanna Goodman

イラスト: Tor Brandt

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: David Mumbere Kathoh、Nicole Mbambu Musimbi

拠点: ゴマ(コンゴ民主共和国)

今日では、1 日に 4 億を超える人々がモバイルマネーと呼ばれるサービスを利用しています。このサービスでは、USSD(スマートフォンで送信するクイックコード)を使用して、送金、公共料金の支払い、モバイルマネー キオスクからの現金の引き出しを行うことができます。モバイルマネーは世界中の人々に利用されていますが、人口の 46% が従来の銀行や安定したインターネット接続を利用できない地域に住んでいるコンゴ民主共和国(DRC)のような国の人々にとっては特に有用です。しかし、残念ながらモバイルマネーのプロセスは、特に数字を読んだり操作したりするのが困難な人にとっては、時間がかかり、使いづらいという難点があります。一度操作を間違えると、最初からやり直さなければなりません。

また、間違ったコードを使用すると、間違った相手に送金してしまう可能性があります。Esske は操作を簡素化し、より直感的で利用しやすいものにします。アプリ内では、ユーザーはライブ トランザクションを読み取ってトラッキングすることさえできます。送金、請求書の支払い、サブスクリプションの購入も可能です。SMS の送信、データの利用、電話の発信に必要な通信時間も購入できます。ほとんどのモバイル バンキング サービスでは、ユーザーはスマートフォンの USSD コードを手動で入力する必要がありますが、Eskke のクイック引き出し機能はこの情報を自動的に処理します。

ML Kit のオフライン テキスト認識やバーコード スキャンのようなツールを使用すると、ユーザーはモバイルマネー キオスクで QR コードをスキャンするだけで、速やかに現金を引き出すことができます。このアプリは DRC のユーザーに提供されていますが、他のアフリカ諸国でもモバイルマネー事業者をサポートできるように拡張される予定です。

文: Arielle Bier

イラスト: Frances Haszard

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: Elvin Rakhmankulov、Arthur Dickerson、Gabor Daniel Vass、Yury Ulasenka

拠点: シカゴ(米国)

世界中で気候変動が実感されるようになり、人々は二酸化炭素排出量を削減し、埋め立て地に運ばれる廃棄物を減らそうとしています。

ほとんどの都市ではリサイクル サービスが提供されていますが、ルール、制限、規制は場所によってさまざまです。不十分な分類と一貫性のないポリシーが原因で、リサイクルできないゴミが回収容器の 25% 以上を占めています。

Trashly を使用すると、消費者がリサイクルを行うことが簡単になります。オンデバイス カメラを対象物に向けるだけで、物体検出によってアプリがプラスチック コップと紙コップ、袋、ボトルなどを識別して分類します。アプリはカスタム TensorFlow Lite モデルを使用してこの情報を分析した後、対象物がリサイクル可能かどうかと、地域のルールに則ったリサイクル方法を報告し、近隣の回収容器に関する詳細情報を伝えます。

現在、Trashly はイリノイ州、ペンシルベニア州、カリフォルニア州で利用可能です。「Near Me」機能を使用すると、1,000 か所にのぼるリサイクル センターを見つけることができます。将来的には他の州や国にも拡張し、未来に向けて責任を果たすための正しいゴミ捨ての習慣をサポートする予定です。

文: Arielle Bier

イラスト: Aless Mc

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: Chinmay Mishra

拠点: ニューデリー(インド)

「ML の利用により、犬の飼い主が犬の健康状態を正確に判断して対処できるようにしたいと願っています。」

犬の毎日の運動、食事、世話は、飼い主に依存しています。しかし、飼い主の善意にもかかわらず、愛犬の多くは太りすぎてしまい、それによって寿命が最大 25% 短くなります。UnoDogs は、カスタマイズされた情報とフィットネス プログラムを通して、飼い主がペットの健康をより適切に管理できるようにします。UnoDogs は、犬の健康状態をトラッキングして測定し、的確なアドバイスを提供することで、健康上の問題を予防します。

UnoDogs は、Google Cloud Platform の AutoML Vision 機能により、ライブ画像を分析する物体検出モデルをトレーニングし、犬の体調スコアを計算して、理想の体重とサイズを維持するための推奨事項を提供します。今後のバージョンでは、おすすめの食事、敏捷性テスト、フィットネス プランなど、ML を利用した機能を拡充する予定です。

また、体重と運動のトラッキング詳細をリアルタイム分析と組み合わせることにより、犬が健康に暮らすための目標達成の指針を飼い主が常に得られるように設計された、実践しやすい食事と運動のプログラムを提供します。

文: Arielle Bier

イラスト: Choi Haeryung

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: Mirwise Khan、Samina Ismail、Ehtisham Ahmed、Hassaan Khalid

拠点: バロチサン(パキスタン)

「私たちは、農業従事者のインターネット利用と、農業生産のための AI 利用をサポートしています。」

農作物の病害は、世界中の農業従事者にとって常に脅威となっています。食料不足が人々の健康、社会、経済に及ぼす影響は、破壊的なものになるおそれがあります。AgriFarm は、農業従事者が農作物の病気を検出し、大きな被害を防ぐために役立ちます。それを実現するため、病気の種類の識別に使用されるディープ ニューラル ネットワーク分類を Google Cloud AI Platform でホストしています。

さらに、天気予報、おすすめ動画、価格予測などの機能も提供しています。AgriFarm は、インターネット アクセスが限定される僻地の農村部でも使用できるように設計されており、トマト、トウモロコシ、ジャガイモなどの野菜と果物に対応していますが、世界中で利用できるようにデータセットを拡張しています。

文: Arielle Bier

イラスト: Buba Viedma

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: Navneet Krishna

拠点: コチ(インド)

「AgroDoc は、農業の経験が不十分な人々にとても役立つでしょう。」

AgroDoc は、クラウドソーシング モデルに基づいて、地理的位置と気候が似ている農業従事者からデータを収集し、農作物の病気を診断して治療プランを作成します。このアプリは、オンデバイス カメラで病気に感染した葉をスキャンし、TensorFlow Lite ライブラリを使用して病気の種類を検出します。

このデータを主な症状と組み合わせて分析し、農作物の健康状態を改善するための簡単な手順を提供します。

文: Arielle Bier

イラスト: Buba Viedma

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: Yingding Wang

拠点: ミュンヘン(ドイツ)

「現代社会では物事が急激に変化し、仕事のプレッシャーが大変大きくなるので、私たちの体はそうしたストレスに対してトラに襲われたかのように反応します。」

ストレスには、ポジティブな面とネガティブな面の両方を含めて、さまざまな形があります。幸いにも、私たちの体は状況の変化に対して自律的に適応できるように作られています。しかし、尋常でない出来事や状態が高レベルのストレスを引き起こすと、悪影響が蓄積し、不安、抑うつ、長期的な健康被害につながる可能性があります。Stila(Stress tracking in learning activities の略)は、身体のストレスレベルをモニタリングおよびトラッキングし、ユーザーが自分の生活におけるストレスをより適切に把握して管理できるようにします。これを可能にするため、このスマートフォン アプリは、Fitbit リストバンドや、Wear OS by Google で実行されているデバイスなどのウェアラブル デバイスと連携して、バイオフィードバックを記録します。

Firebase Custom Model がストレスを検出して分類し、TensorFlow Lite インタープリタが情報をオフラインで処理することを可能にします。アプリは身体のストレスレベルをトラッキングし、それをユーザーのライフイベントおよび環境の簡単なレポートと組み合わせます。次に、特定の活動中のストレスを推定するのに役立つ、ストレスレベルのスコアを計算します。ストレス源と刺激に対する反応は人それぞれなので、Stila はそうしたレポートを学習して、各種の反応に適応します。さらに、個々のユーザーの生活リズムとニーズに応じて、フィードバックを提供します。

個別のトレイトを使用すると、転移学習によってユーザーのエクスペリエンスをさらにパーソナライズできます。長期にわたってストレスレベルを検出してモニタリングすることで、ユーザーは自分の生活におけるストレスをより適切に管理できるようになります。

文: Arielle Bier

イラスト: Linn Fritz

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: Peter Ma、Sarah Han

拠点: サンフランシスコ(米国)

「私たちは、全員が定期的にヨガを実践しているソフトウェア開発者です。私たちは、テクノロジーがヨガとフィットネス体験の向上にどのように役立つかを探究したいと考えました。」

MixPose は、ヨガの教師とフィットネスの専門家向けに、リアルタイムで生徒を指導し、身体ポジションをトラッキングして、フィードバックを与える機会を提供するライブ ストリーミング プラットフォームです。静的なフィットネス動画は、一方向で情報を伝えるだけです。しかし、このアプリを使用すると、教師はレッスンをカスタマイズして、生徒のニーズに直接対応することができます。ポーズ トラッキング機能が各ユーザーの動きを検出し、ML Kit と PoseNet を使用して身体ポジションを分類します。

次に、ライブセンサーとフィードバック システムが身体ポジションに関する情報を知らせます。Chromecast などの動画機能に出力を追加し、没入感の高い大画面に簡単に接続して視聴できるようにします。MixPose は、ヨガを実践している 3,700 万人の米国人を念頭に置いて設計されており、そのリリースには 100 人を超えるヨガの教師が協力しています。このプラットフォームは、AI at the Edge、5G、スマートテレビを介したイノベーションにより、自宅で快適にインタラクティブな指導を受けられる体験をユーザーに直接提供します。

文: Arielle Bier

イラスト: Rachel Levit Ruiz

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: Prince Patel、Aman Arora、Aditya Narayan

拠点: ベンガルール(インド)

「インドに住む約 700 万の人々が、聴く能力と話す能力において他の人との違いを抱えています。」

インドに住む約 700 万の人々が、聴く能力と話す能力において他の人との違いを抱えています。しかし、手話教育を受けられる人はわずかしかいません。言語と方言が多岐にわたるため、標準的なコミュニケーション方法の構築はほとんど不可能です。

Leepi を使用すると、アメリカ手話のハンド ジェスチャーとシンボルを学習できます。このアプリは、文字、記号、顔、インテントの認識機能を使用します。インタラクティブな練習とリアルタイムのフィードバック機能も備えています。オンデバイス処理の精度を高めてより簡素化するために、TensorFlow Lite ライブラリと MediaPipe フレームワークが使用されました。特に重要なのは、オフラインで使用できるように設計されており、より多くの生徒がバリアフリーで参加できる点です。

文: Arielle Bier

イラスト: Xuetong Wang

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: Ethan Fan

拠点: カリフォルニア州マウンテンビュー(米国)

「私たちのソリューションは、ディープ ラーニングを通じて音声分類を使用することです。」

人体の休息と回復には、十分な睡眠が不可欠です。しかし、成人の 25% は習慣的にいびきをかくため、それが睡眠障害や慢性的な健康問題につながる可能性があります。

Snore and Cough アプリは、TensorFlow Lite を使用して音声をキャプチャ、分析し、分類することで、いびきと咳を識別し、ユーザーが医療専門家に相談できるようにします。

文: Arielle Bier

イラスト: Xuetong Wang

ADC 優秀賞受賞アプリ

開発者: Colin Shelton、Jing Chang、Sam Grogan、Eric Emery

拠点: テキサス州アディソン(米国)

「私たちは、機械学習を活用して公共の利益を実現したいと考えました。」

ショッピング モールや混雑した通りなどの公共の環境を移動するとき、動く障害物は絶えず予期しない変化を見せます。視覚、聴覚、触覚などの感覚体験は、衝突を避け、事故を防ぐのに役立ちます。しかし、視覚障がい者にとって、公共の環境を移動することは、次々と未知のものに直面することを意味します。Path Finder は、視覚障がいを持つ人の移動経路内で動く物体の軌道を識別して計算することにより、このような複雑な環境の移動を助けます。

さらに、カスタム アラートは、障害物を避ける方法をユーザーに通知し、安全に移動するためのアクションを提案します。このアプリは、TensorFlow Lite の物体検出を使用して、周囲の物体の距離を計算します。アプリは、ユーザー エクスペリエンスを補強し、情報を伝え、サポートを提供し、困難な状況でユーザーを萎縮させないように設計されています。この理由のため、Path Finder の設定プロセスは対話方式になっており、視力が制限されているユーザーとその補助者向けにカスタマイズされています。

聴覚フィードバックと触覚フィードバックの両方が障害物アラート システムに組み込まれ、ピッチと周波数の範囲が各物体の距離と方向を伝達します。モールス信号のような音声パターンがレイヤ化されて結合され、さらに多くの情報を伝えます。Path Finder は、視覚障がいを持つユーザーが予測テクノロジーを利用して容易に公共の環境を移動できるようにします。

文: Arielle Bier

イラスト: Sonya Korshenboym

公開日の時点で、ユーザーがアプリを試してダウンロードできるように、すべてのデベロッパーがアプリのコンセプトを具現化すべく努力してきました。このリストをご覧になった時点で、すべてのアプリをダウンロードできるという保証は致しかねます。アプリによっては、国またはデバイス固有の制限を受ける場合や、最終的な詳細実装がまだ作業中である場合があるためです。ここで紹介しているアプリは、Google ではなくデベロッパーのプロジェクトです。