システムレベルでは、Android はゲーム コントローラからの入力イベントコードを Android キーコードと軸値としてレポートします。ゲームでこれらのコードと値を受け取って、特定のゲーム内アクションに変換することができます。
プレーヤーがゲーム コントローラと Android デバイスを物理的に接続するか、無線でペア設定すると、システムがコントローラを入力デバイスとして自動検出し、入力イベントのレポートを開始します。アクティブな Activity
またはフォーカスされている View
に以下のコールバック メソッドを実装することにより、ゲームでこれらの入力イベントを受け取ることができます(Activity
または View
(両方ではない)のコールバックを実装する必要があります)。
Activity
から:dispatchGenericMotionEvent(android.view. MotionEvent)
ジョイスティックの動きなどの一般的なモーション イベントを処理するために呼び出されます。
dispatchKeyEvent(android.view.KeyEvent)
ゲームパッド ボタンや D-pad ボタンの押下などのキーイベントを処理するために呼び出されます。
View
から:onGenericMotionEvent(android.view.MotionEvent)
ジョイスティックの動きなどの一般的なモーション イベントを処理するために呼び出されます。
onKeyDown(int, android.view.KeyEvent)
ゲームパッド ボタンや D-pad ボタンなどの物理キーの押下を処理するために呼び出されます。
onKeyUp(int, android.view.KeyEvent)
ゲームパッド ボタンや D-pad ボタンなどの物理キーのリリースを処理するために呼び出されます。
推奨される方法は、ユーザーが操作する特定の View
オブジェクトからイベントをキャプチャすることです。コールバックによって提供される次のオブジェクトを調べて、受信した入力イベントのタイプに関する情報を取得します。
KeyEvent
- 十字キー(D-pad)およびゲームパッド ボタンのイベントを表すオブジェクト。キーイベントには、トリガーされた特定のボタン(
DPAD_DOWN
やBUTTON_A
など)を示すキーコードが伴います。キーコードは、getKeyCode()
を呼び出すか、onKeyDown()
などのキーイベント コールバックから取得できます。 MotionEvent
- ジョイスティックやショルダー トリガーの動きによる入力を表すオブジェクト。モーション イベントには、アクション コードと一連の軸の値があります。アクション コードは、ジョイスティックの移動など、発生した状態変化を指定します。軸の値は、特定の物理コントロールの位置やその他の動きに関するプロパティ(
AXIS_X
やAXIS_RTRIGGER
など)を表します。アクション コードを取得するにはgetAction()
を、軸の値を取得するにはgetAxisValue()
を呼び出します。
このレッスンでは、上記の View
のコールバック メソッドを実装し、KeyEvent
および MotionEvent
オブジェクトを処理することにより、最も一般的なタイプの物理コントロール(ゲームパッド ボタン、十字キー、ジョイスティック)からの入力をゲームの画面内で処理する方法に焦点を当てて説明します。
ゲーム コントローラが接続されていることを確認する
入力イベントを報告する際、Android では、ゲーム コントローラ以外のデバイスからのイベントと、ゲーム コントローラからのイベントが区別されません。たとえば、タッチ スクリーンの操作では、タッチ面の X 座標を表す AXIS_X
イベントが生成されますが、ジョイスティックでは、ジョイスティックの X 位置を表す AXIS_X
イベントが生成されます。ゲーム コントローラの入力を処理することが重要な場合、まず、入力イベントが関連するソースタイプからのものであることを確認する必要があります。
接続された入力デバイスがゲーム コントローラであることを確認するには、getSources()
を呼び出して、そのデバイスでサポートされている入力ソースタイプの複合ビット フィールドを取得します。さらに、以下のフィールドが設定されているかどうかをテストによって確認できます。
- ソースタイプが
SOURCE_GAMEPAD
の場合、入力デバイスにゲームパッド ボタン(BUTTON_A
など)があることを示します。このソースタイプは、ゲーム コントローラに D-pad ボタンがあるかどうかを厳密に示しているわけではありませんが、ほとんどのゲームパッドには通常、方向コントロールがあります。 - ソースタイプ
SOURCE_DPAD
は、入力デバイスに D-pad ボタン(DPAD_UP
など)があることを示します。 - ソースタイプが
SOURCE_JOYSTICK
の場合、入力デバイスにアナログ制御スティック(AXIS_X
とAXIS_Y
に沿った動きを記録するジョイスティックなど)があることを示します。
次のコード スニペットは、接続されている入力デバイスがゲーム コントローラかどうかを確認するためのヘルパー メソッドを示しています。ゲーム コントローラの場合、このメソッドはゲーム コントローラのデバイス ID を取得します。その後、各デバイス ID をゲーム内のプレーヤーに関連付けて、接続されている各プレーヤーのゲーム アクションを個別に処理できます。同じ Android デバイスで同時に接続される複数のゲーム コントローラのサポートについて詳しくは、複数のゲーム コントローラのサポートをご覧ください。
Kotlin
fun getGameControllerIds(): List<Int> { val gameControllerDeviceIds = mutableListOf<Int>() val deviceIds = InputDevice.getDeviceIds() deviceIds.forEach { deviceId -> InputDevice.getDevice(deviceId).apply { // Verify that the device has gamepad buttons, control sticks, or both. if (sources and InputDevice.SOURCE_GAMEPAD == InputDevice.SOURCE_GAMEPAD || sources and InputDevice.SOURCE_JOYSTICK == InputDevice.SOURCE_JOYSTICK) { // This device is a game controller. Store its device ID. gameControllerDeviceIds .takeIf { !it.contains(deviceId) } ?.add(deviceId) } } } return gameControllerDeviceIds }
Java
public ArrayList<Integer> getGameControllerIds() { ArrayList<Integer> gameControllerDeviceIds = new ArrayList<Integer>(); int[] deviceIds = InputDevice.getDeviceIds(); for (int deviceId : deviceIds) { InputDevice dev = InputDevice.getDevice(deviceId); int sources = dev.getSources(); // Verify that the device has gamepad buttons, control sticks, or both. if (((sources & InputDevice.SOURCE_GAMEPAD) == InputDevice.SOURCE_GAMEPAD) || ((sources & InputDevice.SOURCE_JOYSTICK) == InputDevice.SOURCE_JOYSTICK)) { // This device is a game controller. Store its device ID. if (!gameControllerDeviceIds.contains(deviceId)) { gameControllerDeviceIds.add(deviceId); } } } return gameControllerDeviceIds; }
また、接続されているゲーム コントローラでサポートされている個々の入力機能を確認することもできます。これはたとえば、ゲームが理解できる物理コントロール セットからの入力のみを使用したい場合に便利です。
接続されているゲーム コントローラで特定のキーコードまたは軸コードがサポートされているかどうかを確認するには、以下の手法を使用します。
- Android 4.4(API レベル 19)以降では、
hasKeys(int...)
を呼び出すことで、接続されたゲーム コントローラでキーコードがサポートされているかどうかを確認できます。 - Android 3.1(API レベル 12)以降では、最初に
getMotionRanges()
を呼び出すことで、接続されているゲーム コントローラでサポートされているすべての軸を確認できます。次に、返されたInputDevice.MotionRange
オブジェクトごとにgetAxis()
を呼び出して軸 ID を取得します。
ゲームパッド ボタンの押下を処理する
図 1 は、キーコードと軸の値がほとんどのゲーム コントローラの物理コントロールにどのようにマッピングされるかを示しています。
図の吹き出しについては、以下を参照してください。
ゲームパッド ボタンの押下によって生成される一般的なキーコードには、BUTTON_A
、BUTTON_B
、BUTTON_SELECT
、BUTTON_START
などがあります。一部のゲーム コントローラは、D-pad クロスバーの中心が押下されたときに DPAD_CENTER
キーコードもトリガーします。ゲームでは、getKeyCode()
を呼び出すか、onKeyDown()
などのキーイベント コールバックからキーコードを検査できます。キーコードがゲームに関連するイベントを表している場合は、ゲーム アクションとして処理します。表 1 に、一般的なゲームパッド ボタン用として推奨されるゲーム アクションを示します。
ゲーム アクション | ボタンのキーコード |
---|---|
メインメニューでゲームを開始する、ゲーム中に一時停止 / 一時停止解除する | BUTTON_START * |
メニューを表示する | BUTTON_SELECT *、KEYCODE_MENU * |
Android の「戻る」ナビゲーション動作と同じです(ナビゲーション設計ガイドを参照)。 | KEYCODE_BACK |
メニュー内の前の項目に戻る | BUTTON_B |
選択を確認するか、メインのゲーム アクションを実行する | BUTTON_A と DPAD_CENTER |
* ゲームは、スタートボタン、選択ボタン、メニューボタンがあるかどうかに依存してはなりません。
ヒント: ゲームに構成画面を提供して、ユーザーがゲーム アクションに対する独自のゲーム コントローラ マッピングをカスタマイズできるようにすることを検討してください。
次のスニペットは、onKeyDown()
をオーバーライドして、BUTTON_A
ボタンと DPAD_CENTER
ボタンの押下をゲーム アクションに関連付ける方法を示しています。
Kotlin
class GameView(...) : View(...) { ... override fun onKeyDown(keyCode: Int, event: KeyEvent): Boolean { var handled = false if (event.source and InputDevice.SOURCE_GAMEPAD == InputDevice.SOURCE_GAMEPAD) { if (event.repeatCount == 0) { when (keyCode) { // Handle gamepad and D-pad button presses to navigate the ship ... else -> { keyCode.takeIf { isFireKey(it) }?.run { // Update the ship object to fire lasers ... handled = true } } } } if (handled) { return true } } return super.onKeyDown(keyCode, event) } // Here we treat Button_A and DPAD_CENTER as the primary action // keys for the game. private fun isFireKey(keyCode: Int): Boolean = keyCode == KeyEvent.KEYCODE_DPAD_CENTER || keyCode == KeyEvent.KEYCODE_BUTTON_A }
Java
public class GameView extends View { ... @Override public boolean onKeyDown(int keyCode, KeyEvent event) { boolean handled = false; if ((event.getSource() & InputDevice.SOURCE_GAMEPAD) == InputDevice.SOURCE_GAMEPAD) { if (event.getRepeatCount() == 0) { switch (keyCode) { // Handle gamepad and D-pad button presses to // navigate the ship ... default: if (isFireKey(keyCode)) { // Update the ship object to fire lasers ... handled = true; } break; } } if (handled) { return true; } } return super.onKeyDown(keyCode, event); } private static boolean isFireKey(int keyCode) { // Here we treat Button_A and DPAD_CENTER as the primary action // keys for the game. return keyCode == KeyEvent.KEYCODE_DPAD_CENTER || keyCode == KeyEvent.KEYCODE_BUTTON_A; } }
注: Android 4.2(API レベル 17)以前では、BUTTON_A
はデフォルトで Android の「戻る」キーとして処理されます。アプリがこれらの Android バージョンをサポートしている場合は、BUTTON_A
をメインのゲーム アクションとして処理するようにしてください。デバイスの現在の Android SDK バージョンを確認するには、Build.VERSION.SDK_INT
の値を参照します。
十字キーの入力を処理する
4 方向の十字キー(D-pad)は、多くのゲーム コントローラで一般的な物理コントロールとして使用されています。Android は、D-pad の UP と DOWN の押下を -1.0(上)から 1.0(下)の範囲の AXIS_HAT_Y
イベントとして、D-pad の LEFT と RIGHT の押下を -1.0(左)から 1.0(右)の範囲の AXIS_HAT_X
イベントとしてレポートします。
D-pad の押下をキーコードでレポートするコントローラもあります。ゲームで D-pad の押下を処理する場合、表 2 に示すように、ハット軸のイベントと D-pad のキーコードを同じ入力イベントとして処理する必要があります。
ゲーム アクション | D-pad のキーコード | ハット軸のコード |
---|---|---|
上に移動 | KEYCODE_DPAD_UP |
AXIS_HAT_Y (値が 0 から -1.0 の場合) |
下に移動 | KEYCODE_DPAD_DOWN |
AXIS_HAT_Y (値が 0 から 1.0 の場合) |
左に移動 | KEYCODE_DPAD_LEFT |
AXIS_HAT_X (値が 0 から -1.0 の場合) |
右に移動 | KEYCODE_DPAD_RIGHT |
AXIS_HAT_X (値が 0 から 1.0 の場合) |
次のコード スニペットは、入力イベントのハット軸とキーコードの値を確認して D-pad の方向を決定できるヘルパークラスを示しています。
Kotlin
class Dpad { private var directionPressed = -1 // initialized to -1 fun getDirectionPressed(event: InputEvent): Int { if (!isDpadDevice(event)) { return -1 } // If the input event is a MotionEvent, check its hat axis values. (event as? MotionEvent)?.apply { // Use the hat axis value to find the D-pad direction val xaxis: Float = event.getAxisValue(MotionEvent.AXIS_HAT_X) val yaxis: Float = event.getAxisValue(MotionEvent.AXIS_HAT_Y) directionPressed = when { // Check if the AXIS_HAT_X value is -1 or 1, and set the D-pad // LEFT and RIGHT direction accordingly. xaxis.compareTo(-1.0f) == 0 -> Dpad.LEFT xaxis.compareTo(1.0f) == 0 -> Dpad.RIGHT // Check if the AXIS_HAT_Y value is -1 or 1, and set the D-pad // UP and DOWN direction accordingly. yaxis.compareTo(-1.0f) == 0 -> Dpad.UP yaxis.compareTo(1.0f) == 0 -> Dpad.DOWN else -> directionPressed } } // If the input event is a KeyEvent, check its key code. (event as? KeyEvent)?.apply { // Use the key code to find the D-pad direction. directionPressed = when(event.keyCode) { KeyEvent.KEYCODE_DPAD_LEFT -> Dpad.LEFT KeyEvent.KEYCODE_DPAD_RIGHT -> Dpad.RIGHT KeyEvent.KEYCODE_DPAD_UP -> Dpad.UP KeyEvent.KEYCODE_DPAD_DOWN -> Dpad.DOWN KeyEvent.KEYCODE_DPAD_CENTER -> Dpad.CENTER else -> directionPressed } } return directionPressed } companion object { internal const val UP = 0 internal const val LEFT = 1 internal const val RIGHT = 2 internal const val DOWN = 3 internal const val CENTER = 4 fun isDpadDevice(event: InputEvent): Boolean = // Check that input comes from a device with directional pads. event.source and InputDevice.SOURCE_DPAD != InputDevice.SOURCE_DPAD } }
Java
public class Dpad { final static int UP = 0; final static int LEFT = 1; final static int RIGHT = 2; final static int DOWN = 3; final static int CENTER = 4; int directionPressed = -1; // initialized to -1 public int getDirectionPressed(InputEvent event) { if (!isDpadDevice(event)) { return -1; } // If the input event is a MotionEvent, check its hat axis values. if (event instanceof MotionEvent) { // Use the hat axis value to find the D-pad direction MotionEvent motionEvent = (MotionEvent) event; float xaxis = motionEvent.getAxisValue(MotionEvent.AXIS_HAT_X); float yaxis = motionEvent.getAxisValue(MotionEvent.AXIS_HAT_Y); // Check if the AXIS_HAT_X value is -1 or 1, and set the D-pad // LEFT and RIGHT direction accordingly. if (Float.compare(xaxis, -1.0f) == 0) { directionPressed = Dpad.LEFT; } else if (Float.compare(xaxis, 1.0f) == 0) { directionPressed = Dpad.RIGHT; } // Check if the AXIS_HAT_Y value is -1 or 1, and set the D-pad // UP and DOWN direction accordingly. else if (Float.compare(yaxis, -1.0f) == 0) { directionPressed = Dpad.UP; } else if (Float.compare(yaxis, 1.0f) == 0) { directionPressed = Dpad.DOWN; } } // If the input event is a KeyEvent, check its key code. else if (event instanceof KeyEvent) { // Use the key code to find the D-pad direction. KeyEvent keyEvent = (KeyEvent) event; if (keyEvent.getKeyCode() == KeyEvent.KEYCODE_DPAD_LEFT) { directionPressed = Dpad.LEFT; } else if (keyEvent.getKeyCode() == KeyEvent.KEYCODE_DPAD_RIGHT) { directionPressed = Dpad.RIGHT; } else if (keyEvent.getKeyCode() == KeyEvent.KEYCODE_DPAD_UP) { directionPressed = Dpad.UP; } else if (keyEvent.getKeyCode() == KeyEvent.KEYCODE_DPAD_DOWN) { directionPressed = Dpad.DOWN; } else if (keyEvent.getKeyCode() == KeyEvent.KEYCODE_DPAD_CENTER) { directionPressed = Dpad.CENTER; } } return directionPressed; } public static boolean isDpadDevice(InputEvent event) { // Check that input comes from a device with directional pads. if ((event.getSource() & InputDevice.SOURCE_DPAD) != InputDevice.SOURCE_DPAD) { return true; } else { return false; } } }
このヘルパークラスは、ゲームで D-pad の入力を処理する場合に使用できます(onGenericMotionEvent()
コールバックや onKeyDown()
コールバックなど)。
例:
Kotlin
private val dpad = Dpad() ... override fun onGenericMotionEvent(event: MotionEvent): Boolean { if (Dpad.isDpadDevice(event)) { when (dpad.getDirectionPressed(event)) { Dpad.LEFT -> { // Do something for LEFT direction press ... return true } Dpad.RIGHT -> { // Do something for RIGHT direction press ... return true } Dpad.UP -> { // Do something for UP direction press ... return true } ... } } // Check if this event is from a joystick movement and process accordingly. ... }
Java
Dpad dpad = new Dpad(); ... @Override public boolean onGenericMotionEvent(MotionEvent event) { // Check if this event if from a D-pad and process accordingly. if (Dpad.isDpadDevice(event)) { int press = dpad.getDirectionPressed(event); switch (press) { case LEFT: // Do something for LEFT direction press ... return true; case RIGHT: // Do something for RIGHT direction press ... return true; case UP: // Do something for UP direction press ... return true; ... } } // Check if this event is from a joystick movement and process accordingly. ... }
ジョイスティックの動きを処理する
プレーヤーがゲーム コントローラのジョイスティックを動かすと、Android が ACTION_MOVE
アクション コードとジョイスティックの軸の最新の位置を含む MotionEvent
をレポートします。ゲームでは、MotionEvent
から提供されるデータを使用して、対象のジョイスティックの動きが発生したかどうかを判断できます。
ジョイスティックのモーション イベントでは、複数の動作サンプルを 1 つのオブジェクトにまとめることができます。MotionEvent
オブジェクトには、ジョイスティックの各軸の現在の位置情報と、各軸のこれまでの各種位置情報が格納されます。アクション コード ACTION_MOVE
を含むモーション イベント(ジョイスティックの動きなど)をレポートする場合、Android は効率を高めるために軸の値をバッチ処理します。軸の過去の値は、現在の軸の値よりも古い個別の値と、以前のモーション イベントで報告された値よりも新しい値のセットで構成されます。詳しくは、MotionEvent
リファレンスをご覧ください。
履歴情報を使用することで、ジョイスティックの入力に基づくゲーム オブジェクトの動きをより正確にレンダリングできます。現在と過去の値を取得するには、getAxisValue()
または getHistoricalAxisValue()
を呼び出します。また、getHistorySize()
を呼び出すことで、ジョイスティック イベントの履歴ポイント数を確認することもできます。
次のスニペットは、ジョイスティックの入力を処理するように onGenericMotionEvent()
コールバックをオーバーライドする方法を示しています。まず軸の過去の値を処理し、次に現在の位置を処理する必要があります。
Kotlin
class GameView(...) : View(...) { override fun onGenericMotionEvent(event: MotionEvent): Boolean { // Check that the event came from a game controller return if (event.source and InputDevice.SOURCE_JOYSTICK == InputDevice.SOURCE_JOYSTICK && event.action == MotionEvent.ACTION_MOVE) { // Process the movements starting from the // earliest historical position in the batch (0 until event.historySize).forEach { i -> // Process the event at historical position i processJoystickInput(event, i) } // Process the current movement sample in the batch (position -1) processJoystickInput(event, -1) true } else { super.onGenericMotionEvent(event) } } }
Java
public class GameView extends View { @Override public boolean onGenericMotionEvent(MotionEvent event) { // Check that the event came from a game controller if ((event.getSource() & InputDevice.SOURCE_JOYSTICK) == InputDevice.SOURCE_JOYSTICK && event.getAction() == MotionEvent.ACTION_MOVE) { // Process all historical movement samples in the batch final int historySize = event.getHistorySize(); // Process the movements starting from the // earliest historical position in the batch for (int i = 0; i < historySize; i++) { // Process the event at historical position i processJoystickInput(event, i); } // Process the current movement sample in the batch (position -1) processJoystickInput(event, -1); return true; } return super.onGenericMotionEvent(event); } }
ジョイスティックの入力を使用する前に、ジョイスティックの位置が中心かどうかを確認し、それに応じて軸の動きを計算する必要があります。通常、ジョイスティックには「フラット」な領域(軸の位置が中心とみなされる座標(0,0)付近の値の範囲)があります。Android からレポートされた軸の値がこのフラットな領域内の場合、コントローラが静止している(両方の軸方向の動きがない)とみなす必要があります。
以下のスニペットは、各軸に沿った動きを計算するヘルパー メソッドを示しています。このヘルパーは、後述する processJoystickInput()
メソッドで呼び出します。
Kotlin
private fun getCenteredAxis( event: MotionEvent, device: InputDevice, axis: Int, historyPos: Int ): Float { val range: InputDevice.MotionRange? = device.getMotionRange(axis, event.source) // A joystick at rest does not always report an absolute position of // (0,0). Use the getFlat() method to determine the range of values // bounding the joystick axis center. range?.apply { val value: Float = if (historyPos < 0) { event.getAxisValue(axis) } else { event.getHistoricalAxisValue(axis, historyPos) } // Ignore axis values that are within the 'flat' region of the // joystick axis center. if (Math.abs(value) > flat) { return value } } return 0f }
Java
private static float getCenteredAxis(MotionEvent event, InputDevice device, int axis, int historyPos) { final InputDevice.MotionRange range = device.getMotionRange(axis, event.getSource()); // A joystick at rest does not always report an absolute position of // (0,0). Use the getFlat() method to determine the range of values // bounding the joystick axis center. if (range != null) { final float flat = range.getFlat(); final float value = historyPos < 0 ? event.getAxisValue(axis): event.getHistoricalAxisValue(axis, historyPos); // Ignore axis values that are within the 'flat' region of the // joystick axis center. if (Math.abs(value) > flat) { return value; } } return 0; }
まとめると、ゲーム内でジョイスティックの動きを処理する方法を以下に示します。
Kotlin
private fun processJoystickInput(event: MotionEvent, historyPos: Int) { val inputDevice = event.device // Calculate the horizontal distance to move by // using the input value from one of these physical controls: // the left control stick, hat axis, or the right control stick. var x: Float = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_X, historyPos) if (x == 0f) { x = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_HAT_X, historyPos) } if (x == 0f) { x = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_Z, historyPos) } // Calculate the vertical distance to move by // using the input value from one of these physical controls: // the left control stick, hat switch, or the right control stick. var y: Float = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_Y, historyPos) if (y == 0f) { y = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_HAT_Y, historyPos) } if (y == 0f) { y = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_RZ, historyPos) } // Update the ship object based on the new x and y values }
Java
private void processJoystickInput(MotionEvent event, int historyPos) { InputDevice inputDevice = event.getDevice(); // Calculate the horizontal distance to move by // using the input value from one of these physical controls: // the left control stick, hat axis, or the right control stick. float x = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_X, historyPos); if (x == 0) { x = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_HAT_X, historyPos); } if (x == 0) { x = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_Z, historyPos); } // Calculate the vertical distance to move by // using the input value from one of these physical controls: // the left control stick, hat switch, or the right control stick. float y = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_Y, historyPos); if (y == 0) { y = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_HAT_Y, historyPos); } if (y == 0) { y = getCenteredAxis(event, inputDevice, MotionEvent.AXIS_RZ, historyPos); } // Update the ship object based on the new x and y values }
単一のジョイスティックにとどまらない高度な機能を備えたゲーム コントローラをサポートするには、次のおすすめの方法に従ってください。
- デュアル コントローラ スティックに対応する。多くのゲーム コントローラには左右両方のジョイスティックがあります。Android は左スティックについて、水平方向の動きを
AXIS_X
イベントとして、垂直方向の動きをAXIS_Y
イベントとしてレポートします。右スティックの場合、Android は水平方向の動きをAXIS_Z
イベントとして、垂直方向の動きをAXIS_RZ
イベントとしてレポートします。コードで両方のコントローラ スティックを処理してください。 -
ショルダー トリガーの押下に対応する(ゲームが
AXIS_
イベントとKEYCODE_BUTTON_
イベントで動作することを確認する)。一部のコントローラには、左右のショルダー トリガーがあります。これらのトリガーが存在する場合、AXIS_*TRIGGER
イベントまたはKEYCODE_BUTTON_*2
イベント、またはその両方を出力します。左トリガーの場合はAXIS_LTRIGGER
とKEYCODE_BUTTON_L2
です。右側のトリガーの場合、これはAXIS_RTRIGGER
とKEYCODE_BUTTON_R2
です。軸イベントは、トリガーが 0~1 の範囲の値を出力した場合にのみ発生します。アナログ出力のあるコントローラの中には、軸イベントに加えてボタンイベントを出力するものもあります。ゲームは、一般的なすべてのゲーム コントローラとの互換性を維持するために、AXIS_
イベントとKEYCODE_BUTTON_
イベントの両方をサポートする必要があります。ただし、コントローラが両方を報告する場合は、ゲームプレイに最も適したイベントを優先します。Android 4.3(API レベル 18)以降では、AXIS_LTRIGGER
を生成するコントローラもAXIS_BRAKE
軸で同じ値をレポートします。AXIS_RTRIGGER
とAXIS_GAS
についても同様です。Android は、0.0(リリース)から 1.0(完全に押下)の範囲の正規化数を使用して、すべてのアナログ トリガーの押下をレポートします。 -
エミュレートされた環境では、特定の動作とサポートが異なる場合があります。Google Play Games などのエミュレートされたプラットフォームは、ホスト オペレーティング システムの機能によって動作が若干異なる場合があります。たとえば、
AXIS_
イベントとKEYCODE_BUTTON_
イベントの両方を出力するコントローラの中には、AXIS_
イベントのみを出力するコントローラもあります。また、一部のコントローラのサポートが完全にない可能性があります。