レターボックス表示の強化

ディスプレイのサイズやデバイスの向きに関係なく、固定のサイズまたは向きを維持するようにアプリを設定できます(下記のアプリの構成を参照)。アプリから固定された画面の向きをリクエストした場合、あるいはアプリのサイズ変更ができず、最大または最小アスペクト比がデバイスのディスプレイのアスペクト比と互換性がない場合には、アプリがレターボックス表示になります。その際はアプリが中央に配置され、表示領域の両側がマット(黒いバー)になります。

特に折りたたみ式の大画面デバイスは、レターボックス表示になることが多くなります。ほとんどのアプリが標準のスマートフォン用に設計されていて、通常は大画面ディスプレイのディメンションとアスペクト比には合わないためです。

ただし、アプリがレターボックス表示になっても Android では美しく表示されます。

UI の機能が強化されたレターボックス表示のアプリ
UI の機能が強化されたレターボックス表示のアプリ

UI の機能強化

Android 12(API レベル 31)以降、12L(API レベル 32)を含め、プラットフォームではレターボックス表示のアプリについてさまざまな機能強化が行われています。

UI の機能強化はデバイス メーカーが実装するため、それに対応するアプリの強化は特に必要ありません。

こうした UI 拡張機能はデバイス メーカーが実装するため、アプリ側で追加の開発作業を行う必要はありません。

Android 12

API レベル 31 では、外観が次のように強化されています。

  • 角丸: アプリ ウィンドウの角が洗練された印象になっています。
  • ステータスバーの透明度: アプリに重なるステータスバーが半透明であるため、アプリのウィンドウの上端と下端にある要素が視認可能になっています。
  • 設定可能なアスペクト比: デバイス メーカーは、アプリのアスペクト比を調整して外観を改善できます。

12L

API レベル 32 では、次のような機能が改善されています。

  • 位置の設定が可能: デバイス メーカーは操作性を考慮して、大画面ディスプレイの左右どちら側にもアプリを配置できます。
  • 再起動ボタンのデザイン変更: デバイス メーカーはサイズ互換モードによって、再起動ボタンをユーザーにわかりやすいデザインにすることができます。

アプリの構成

レターボックス化は、アプリのサイズ変更ができない場合や、アプリの向きが固定されている場合に発生することがあります。アプリの向きとサイズ変更を制御する設定としては、たとえば次のものがあります。

  • screenOrientation: アプリの固定の向きを指定します。アプリでは Activity#setRequestedOrientation() を使用して、実行時の向きを設定することもできます。

  • resizeableActivity: アプリをマルチウィンドウ モードで実行できるかどうかを示します。マルチウィンドウ モードでは、さまざまなディメンションに合わせたサイズ変更が可能です。

  • maxAspectRatio: アプリがサポートする最大アスペクト比を指定します。maxAspectRatio を設定できるのは、resizeableActivity を false に設定しているアプリのみです。

  • minAspectRatio: アプリがサポートする最小アスペクト比を指定します。minAspectRatio を設定できるのは、resizeableActivity を false に設定しているアプリのみです。

サイズ互換モード

サイズ互換モードは、再起動コントロールを含むレターボックス表示です。アプリがサイズ互換性モードに入るのは、アプリを再スケーリングして、少なくとも 1 つのディメンションがデバイスのディスプレイに収まるようにすることで、レターボックス アプリの表示を改善できるとプラットフォームで判断された場合です。アプリのアスペクト比とアプリの元の境界は維持されます。プラットフォームでは、画面に収まるようにアプリをスケールダウンすることがありますが、スケールアップすることはありません。再起動コントロールは、アクティビティを再起動してディスプレイを再描画します。

一般的にサイズ互換モードが適用されるのは、画面の向きまたはアスペクト比が制限され、サイズ変更不可に設定(またはプラットフォームによって決定)されているアクティビティです(アプリの構成を参照)。ディメンションの互換性がないディスプレイ コンテナにアクティビティが移ると、システムはサイズ互換モードを呼び出します。

たとえば、次のようなデバイス設定を変更すると、サイズ互換モードがトリガーされます。

  • デバイスの回転
  • 折りたたみ式デバイスの折りたたみと展開
  • 全画面モードと分割画面モードの切り替え

レターボックスの枠にとらわれない

Android 12 の機能強化により、レターボックス化されたアプリの外観が改善されますが、最大のメリットは、アプリのサイズ変更が可能になり、あらゆるサイズのディスプレイに適応するレスポンシブ UI が適用されることです。

サイズ変更が可能なアプリはマルチウィンドウ モードに対応しており、またレスポンシブ UI によってユーザー エクスペリエンスが大幅に向上します。

開発ガイダンスについては、次のガイドをご覧ください。